完全腹腔鏡下による予防的胃固定術
症例の概要
胃捻転時のレントゲン(中央の大きな黒い領域が胃ガスの溜まった胃)
胃捻転は胃拡張に続発し、腹腔内で胃が捻れてしまう病気です。
命に関わることも多く、発症した場合は緊急手術が必要になります。
特に大型犬で多く、食事方法や運動制限である程度は予防することは可能ですが、気をつけていても発症してしまうケースもあります。
経過および検査
お腹が膨れ、吐きたそうにしているが胃が捻れているため吐き出すことができず何度も嗚咽を繰り返します。
レントゲンにて胃拡張だけなのか、捻転しているのかを確認します。
治療
胃拡張だけであれば針を刺して胃ガスを抜く、もしくは麻酔をかけて胃洗浄をします。
胃捻転も起こしている場合は緊急手術が必要です。
捻れた胃を正常な位置に戻し、胃と腹壁を縫い合わせて固定します。
また、一緒に脾臓も捻れてしまうことがあり、その場合は脾臓摘出も同時に行います。
獣医師のコメント
腹腔鏡にて胃固定を実施したところ
胃捻転を起こしてしまうとお腹を大きく開けての手術が必要になり、命に関わる可能性もあります。
当院では完全腹腔鏡下での予防的胃固定術を行っております。
避妊手術の際に同時手術も可能です。
あらかじめ胃固定をしておくことで、胃捻転を予防することができます。(胃拡張は予防できません)
以前は予防的手術であってもお腹を大きく開けるため侵襲の大きな手術でした。
現在は腹腔鏡で行うことで小さな傷口で実施することが可能です。