肝臓細胞癌

症例の概要

レントゲン検査画像

肝臓は栄養の代謝や貯蔵、薬物や有害物質の分解、胆汁の生成・分泌などを行う重要な臓器です。肝臓細胞癌は肝臓を構成する肝細胞が癌化する悪性腫瘍の一つです。肝臓の腫瘍は大きくなるまで症状が出づらいことから、健康診断などで偶発的に見つかることがあります。腫瘍が大きくなると、肝臓の機能の不調だけでなく他の臓器や血管などを圧迫したり、破裂して出血を起こすことで急激な体調の悪化を引き起こすことがあります。

経過および検査

CT検査画像(冠状面)

犬 MIX 避妊雌 10歳 5.5㎏
既往に慢性腎不全があり、他院での検診時に偶発的に肝臓腫瘤を発見しました。正確な位置や血管の走行を確認するため、CT検査を実施しました。CT検査から肝臓の内側左葉に5×8×8.3cmの腫瘤を認め、腫瘤は孤立性であったことから手術適応と判断しました。

CT検査画像(矢状面)

治療

切除した腫瘍

外科手術により左肝区域(内、外側左葉)切除を行いました。病理検査から腫瘍は肝細胞癌と診断されました。また、境界明瞭でマージン部の腫瘍性病変は認められませんでした。
肝臓細胞癌は犬の肝臓原発腫瘍の中で最も多くみられる腫瘍です。肝細胞癌は悪性腫瘍ではあるものの、比較的進行はゆっくりで早期の発見と外科手術により完全に取り除くことで完治が期待できる腫瘍とされています。診断されてから無治療だと、1年以内に死亡してしまうケースが半数以上、外科的に切除を行い、完全に取りきることができれば半数以上が4~5年以上生存するいう報告がされています。

獣医師のコメント

今回のケースでは、偶然の検査で肝臓に腫瘍が見つかり、症状が出る前に手術で切除することができました。
腫瘍は大きくなるほど手術の難易度や体への負担が大きくなるため、早期発見がとても重要です。そのため、中高齢のワンちゃん・ネコちゃんには、血液検査だけでなく、半年に1回を目安にレントゲン検査や超音波検査を含めた健康診断をおすすめしています。
また、当院では腫瘍の発見時期や発生部位によって高度な手術が必要な場合や、より専門的な対応が望ましいと判断した場合には、大学病院や二次診療施設と連携し、最適な治療を行える体制を整えています。健康診断についてのご相談はもちろん、より専門的な検査や治療が必要かどうかも含めて、気になることがあればどうぞお気軽にご相談ください。

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