膀胱結石

症例の概要

腹腔鏡でみた膀胱結石

膀胱結石とは膀胱において尿中の成分が結晶化し、結石となったものをいいます。膀胱を含む腎臓、尿管、尿道など尿の通り道にできる結石を尿路結石と呼び、これらの結石により血尿や尿路閉塞などの症状があらわれることがあります。尿路結石はその成分の違いから様々な種類があり、種類によって治療法が異なります。内科治療の有効性が認められない場合は外科手術による摘出が推奨されます。また、摘出後の成分分析の結果をもとに再発を防ぐ計画を立てていくことになります。

経過および検査

レントゲン検査画像

ミヌエット 避妊メス 2歳
2か月前から頻尿と血尿がみられかかりつけを受診し、抗生剤、ステロイド剤、食餌療法を行うも改善がみられず、セカンドオピニオンとして当院を受診しました。レントゲン検査、エコー検査から約6mm大の結石を膀胱内に確認し、尿検査からシュウ酸カルシウム結晶が検出されました。

治療

膀胱と尿道

腹腔鏡を用いて膀胱の結石を摘出。腹腔鏡では肉眼では確認できないような小さな結石や粘膜に埋まっている結石なども確認できるうえ、尿道内の結石までカメラで確認することができ、取り残しによる再発を抑えることができます。また一般的な開腹手術に比べ、小さい石や砂状のものであれば3mmのカメラを使うことで膀胱の切開は5-6mm程度の切開で済むことがあります。切開創が非常に小さいことから膀胱への侵襲(ダメージ)が少なく術後の頻尿や血尿などの合併症も起きにくいとされています。

術創

獣医師のコメント

今回、摘出した結石はシュウ酸カルシウム由来のもので、シュウ酸カルシウム結石は内科治療や食事療法で溶解させることは難しいとされています。そのため、結石をできにくくする予防策として尿の濃縮を防ぐというものが挙げられます。水をこまめに与えることや水分量の多い食餌を与えるなど尿の量を増やすことが有効とされています。尿路結石は術後、すぐに再発するというケース少なくないため、食餌の管理など日常においての予防が重要になります。

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