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犬と猫の歯周病について┃3歳以上の犬や猫の約8割が罹患している!?

病院コラム 2024.09.19

歯周病とは、口腔内の不衛生な状態が続くことで発症する病気で、3歳以上の犬や猫の約8割が罹患しているともいわれています。歯や歯茎の炎症は、食欲に影響するだけでなく、心臓病や腎臓病、糖尿病の発症にも関わることが知られています。これらの病気は犬や猫の命に関わるリスクがあるため、全身の健康を保つためにも、日常のデンタルケアや歯周病の早期発見と早期治療が大切になります。

猫の慢性腎臓病についてはこちらで詳しく解説しています
犬と猫の糖尿病についてはこちらで詳しく解説しています

今回は犬と猫の歯周病について、当院での治療法や適切な予防法を中心にお伝えします。

■目次
1.原因と進行
2.症状
3.診断
4.治療
5.ご家庭での予防法
6.ご家庭での注意点
7.まとめ

 

原因と進行


動物の歯は、健康な状態であれば白く表面がツルツルしていて、炎症や悪臭はありません。

歯周病は、フードの食べかすや細菌が歯の凹凸や歯周ポケットにたまることから始まります。歯周病の原因となる物質は、プラーク(歯垢)と呼ばれます。プラークはやわらかいため、すぐに歯磨きをすれば問題ありませんが、数日放置するだけでプラークは石灰化して硬くなり、歯ブラシでは取り除けなくなります。この状態のプラークを歯石と呼びます。

歯石やプラークがたまると、歯周病を引き起こす細菌が増殖し、まず歯肉(歯茎)に炎症が起こりますこれは「歯肉炎」といい、歯周病の初期段階です。歯石はザラザラしていてプラークが付きやすいため、放置するとさらに歯石がたまり、炎症の範囲も広がっていきます。

歯周組織に炎症がみられる段階は「歯周炎」といい、さまざまな症状が現れ始めます。さらに進行すると、歯の奥(歯根)や骨(歯槽骨)まで影響が及び、重度の「歯周病」を引き起こします

歯周病はどの犬や猫でも起こりうる病気ですが、特に小型犬種でよく見られます。

 

症状


歯周病の主な症状は以下の通りです。

強い口臭(魚が腐ったようなにおい)
歯茎の赤みや腫れ
歯の痛みによる食欲低下
よだれの増加
歯のぐらつき

犬と猫の両方で強い口臭が共通して見られますが、犬では無症状なことも多く、口腔鼻腔瘻で顔が腫れてから気づくこともあります。猫では痛みによる食欲低下や顔を振ったり、よだれが多くなることがあります。

 

診断


歯周病が疑われる場合、口腔内の検査とともにレントゲン検査で、歯槽や歯周組織の状態を確認します。

 

治療


歯周病の治療は、進行度に応じて異なりますが、主に以下の方法が用いられます。

スケーリング
麻酔下で、歯の表面についた歯石を手動の器具や超音波スケーラーで砕きます。

一部の施設では無麻酔でのスケーリングを行っている場合もありますが、無理におさえることによる外傷や、不十分なルートプレーニング、歯周病の見落としなどがあるため、各種団体からも推奨されていません。

ルートプレーニング
歯周ポケット内の歯根に付着した歯石を除去します。

抜歯
重度の歯周病の場合、歯石がたまった歯そのものを取り除きます。

また治療後、歯はきれいになりますが、デンタルケアが不十分だと再び歯石がたまるため、ご家庭でのケアが重要になります。

 

ご家庭での予防法


犬や猫のプラークは数日で歯石に変わるため、毎日の歯磨きが重要です。特に猫は歯磨きを嫌がることが多いため、そういった場合は無理に実施せず、デンタルトリーツなどを利用してもよいでしょう。

また、歯の健康に配慮したフード選びも大切になります。専用のフードが各メーカーから販売されていますが、どの製品がよいのかわからない場合は、お気軽に当院までご相談ください。

 

ご家庭での注意点


早期発見につなげるために、ご家庭では以下の点に注意しましょう。

・口のにおいの変化
・食欲の変化
・食事の際の行動の変化

これらの項目に異変がみられた場合、動物病院への受診をご検討ください。また、口の変化をすぐに察知するためにも、普段のデンタルケアが大切になります。

 

まとめ


歯周病は、ほとんどの犬や猫で発生する歯の病気です。歯石がたまると家庭でのケアでは対処が難しく、全身の病気に発展する可能性もあるため、早めの対処と日々のデンタルケアがポイントになります。歯ブラシやデンタルトリーツなどを活用して、愛犬や愛猫の歯の健康を保ちましょう。

 

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