犬の皮膚がベタベタして臭いのはマラセチア?繰り返す原因と治療
病院コラム 2026.07.28
「体や耳がベタベタしている」
「シャンプーをしても、すぐに脂っぽいニオイが戻ってくる」
「皮膚をかゆがり、赤みやフケが目立つ」
愛犬にこのような症状が見られる場合は、マラセチア皮膚炎が関係しているかもしれません。
市販のシャンプーで一時的に改善したように見えても、しばらくするとベタつきや臭いが戻ることがあります。これは、皮膚で増えたマラセチアだけでなく、その背景にある皮膚の病気や体質への対応が必要なためです。
今回は、犬のマラセチア皮膚炎で見られる症状や、何度も繰り返す理由、動物病院で行う検査・治療について解説します。

■目次
1.マラセチアとは|ほかの犬にうつるの?
2.犬のマラセチア皮膚炎で見られる症状
3.なぜマラセチア皮膚炎を繰り返すの?
4.マラセチア皮膚炎の診断方法
5.マラセチア皮膚炎の治療と通院の目安
6.再発を防ぐためにご家庭でできること
7.まとめ|繰り返すベタつきや臭いはご相談ください
マラセチアとは|ほかの犬にうつるの?
マラセチアは、健康な犬の皮膚にも存在している酵母の一種です。通常は皮膚にいても問題を起こしませんが、皮膚のバリア機能が低下したり、皮脂が増えたりすると過剰に増殖し、かゆみや炎症を引き起こすことがあります。
また、マラセチア皮膚炎は、ほかの犬にうつる病気ではありません。発症には、その犬の皮膚環境や体質、基礎疾患などが関係します。
犬のマラセチア皮膚炎で見られる症状
マラセチア皮膚炎では、次のような変化が見られます。
・皮膚や被毛がベタベタする
・脂っぽい独特の臭いがする
・皮膚をかく、なめる、かむ
・赤みやフケが目立つ
・毛が抜ける
・皮膚が黒っぽくなる
・耳が脂っぽくなり、外耳炎を繰り返す
特に、脇や内股、指の間、首まわり、口元、耳など、湿気や皮脂がたまりやすい部分に症状が出ることがあります。
ただし、皮膚の赤みやかゆみは、膿皮症やアレルギー性皮膚炎などでも見られます。膿やブツブツが目立つ場合は細菌感染が疑われますが、マラセチアと細菌感染、アレルギーなどが同時に起きていることもあり、症状だけで見分けるのは困難です。
なぜマラセチア皮膚炎を繰り返すの?
マラセチア皮膚炎では、薬用シャンプーなどでマラセチアを減らすことで、ベタつきや臭い、かゆみが改善することがあります。
一方で、皮膚のバリア機能が低下していたり、皮脂が増えやすい状態が続いていたりすると、マラセチアが再び増えて症状を繰り返すことがあります。そのため、再発が続く場合は、マラセチアが増えやすくなっている背景もあわせて確認することが大切です。
<背景にある主な病気>
マラセチア皮膚炎を繰り返す場合は、次のような病気が関係していることがあります。
・犬アトピー性皮膚炎や食物アレルギー
・脂漏症など、皮脂の分泌や角化に関わる病気
・甲状腺機能低下症
・副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
アトピーやアレルギーによるかゆみは、皮膚のバリア機能を弱める原因になります。また、ホルモンの病気によって皮膚や被毛の状態が変化し、マラセチアが増えやすくなることもあります。
このほか、高温多湿な環境や皮脂が多い体質、皮膚のしわ、スキンケアの方法などが影響する場合もあります。
繰り返す症状を落ち着かせるためには、マラセチアへの治療とあわせて、その子の皮膚環境や基礎疾患に合った対応を続けていくことが大切です。
マラセチア皮膚炎の診断方法
マラセチア皮膚炎が疑われる場合は、症状が出ている部位や皮膚全体の状態を確認し、テープストリップ検査などを行います。
テープストリップ検査は、皮膚にテープを押し当てて細胞を採取し、顕微鏡でマラセチアや細菌の状態を確認する検査です。皮膚への負担が少なく、顔や指の間などにも行うことができます。
かゆみや赤みはほかの皮膚病でも見られるため、必要に応じて毛検査や皮膚掻爬検査などを組み合わせ、寄生虫や皮膚糸状菌症、膿皮症などとの違いも確認します。
また、治療後も症状を繰り返す場合や、なかなか改善しない場合は、アレルギーやホルモンの病気などが関係していないかを調べることもあります。
当院では、現在見られるベタつきやかゆみだけでなく、これまでの経過や皮膚全体の状態も確認しながら、繰り返す背景まで含めて診療を進めています。
マラセチア皮膚炎の治療と通院の目安
治療では、薬用シャンプーを中心としたスキンケアを行い、皮膚で増えたマラセチアや余分な皮脂、フケなどを取り除きます。皮膚の状態に合わせて保湿剤を併用し、炎症が強い場合や症状が広範囲に及ぶ場合には、内服薬を使用することもあります。
当院では、まず原則として2週間ほどシャンプー療法を行い、ベタつきやかゆみ、マラセチアの状態がどのように変化したかを確認します。使用するシャンプーや洗う頻度は、その子の皮膚の状態に合わせてご案内します。
症状が落ち着いたあとは、必要に応じて、再発の背景にあるアトピー性皮膚炎や脂漏症、内分泌疾患などの治療へ進みます。
マラセチアを減らして現在の症状を整えることと、増えやすくなっている背景へ対応することの両方が、再発を抑えながら皮膚の状態を保つために大切です。
再発を防ぐためにご家庭でできること
再発を防ぐためには、薬用シャンプーや保湿剤によるスキンケアに加えて、必要な内服治療や基礎疾患の治療を、獣医師の指示に沿って続けることが大切です。
あわせて、日頃から皮膚の変化を確認しておきましょう。次のような様子は、マラセチアが再び増えているサインの可能性があります。
・皮膚や耳が以前より脂っぽくなる
・独特の臭いが戻ってくる
・体をかく、なめる回数が増える
・赤みやフケが目立つようになる
こうした変化に早めに気づくことで、症状が強くなる前にスキンケアや治療内容を見直せる場合があります。
ただし、シャンプーの種類や頻度、薬の使い方は、その子の皮膚の状態や基礎疾患によって異なります。ケアを続けても症状が戻る場合や、方法を変更したい場合は、動物病院で皮膚の状態を確認しながら調整していきます。
ご家庭でのケアと動物病院での治療を組み合わせながら、その子に合った方法で皮膚の状態を保っていくことが、再発予防につながります。
まとめ|繰り返すベタつきや臭いはご相談ください
マラセチアは健康な犬の皮膚にも存在しており、皮膚環境の変化によって増えすぎると、ベタつきや臭い、かゆみなどを引き起こします。
市販のシャンプーで一時的に改善しても、何度も症状が戻る場合は、アレルギーや脂漏症、ホルモンの病気などが背景にあるかもしれません。
当院では、皮膚の検査やスキンケアだけでなく、繰り返す原因となる基礎疾患の評価・治療にも対応しています。愛犬の皮膚がベタベタする、臭いが気になる、皮膚炎を繰り返しているといった場合は、お気軽にご相談ください。
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