猫の呼吸が苦しそう… 要注意な呼吸器の症状と緊急性の判断基準
病院コラム 2024.12.26
猫は健康な状態では、口を開けずに静かに鼻から呼吸しています。しかし、呼吸器に問題がある場合、苦しそうに呼吸をするだけでなく、咳や鼻水など、さまざまな症状が現れます。軽度の症状であれば早めの対応でよくなることが多いですが、重度の場合は命に関わる深刻な病気が隠れている可能性があり、迅速な対応が必要です。
今回は、猫の呼吸器症状をチェックするポイントや、主な疾患、そして家庭でできる予防策について解説します。
■目次
1.主な呼吸器疾患
2.主な症状と重症度の目安
3.呼吸器疾患のリスク要因
4.呼吸器疾患の症状緩和のための日常のケア
5.まとめ
主な呼吸器疾患
猫では、以下のような呼吸器疾患がよくみられます。
・上部気道疾患
鼻や喉などの上部気道に炎症が起こる病気で、主にウイルス感染が原因となります。猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスによる上部気道感染症が一般的で、特に子猫では重症化しやすい傾向があります。
子猫期にかかりやすい病気についてはこちらをご覧ください
・下部気道疾患
気管や気管支、肺に影響を及ぼす病気です。代表的なものには猫喘息、気管支炎、肺炎があります。
・腫瘍性疾患
鼻腔、口腔、肺などに腫瘍が発生することがあります。特に中高齢の猫で見られることが多いです。
・その他の疾患や要因
ストレスや心臓の病気、貧血などによっても息苦しそうな様子をみせることがあります。
猫によく起こる心臓の病気「肥大型心筋症」についてはこちらをご覧ください
主な症状と重症度の目安
症状は病気の重症度によっても違ってきます。
〈軽度の場合〉
・軽い咳(ご家庭ではわかりにくいこともあります)
・声がかすれる
・鳴かなくなる(苦しそうではない)
・鼻水
・くしゃみ
〈重度の場合〉
・口を開けて呼吸をする
・舌の色が紫色になる
・お腹を大きく動かしながら呼吸をする
・咳が頻繁に出る(飼い主様にも明らかにわかる)
・元気や食欲の低下
・発熱
特に舌の色が変わっている場合は、身体の中の酸素が足りなくなっているため、とても危険な状態です。そのまま放置すると突然死に至ることもあるため、すぐに動物病院を受診してください。
呼吸器疾患のリスク要因
猫の呼吸器疾患には、生活環境や年齢、体質などさまざまな要因が関係しています。
・外飼いの猫
他の猫との接触により、ウイルス感染症(上部気道感染症)のリスクが高まります。
・室内飼いの猫
室内でも猫喘息の原因となるアレルゲン(ハウスダストやダニなど)が存在する環境では注意が必要です。
・年齢によるリスク
どの年齢・品種でも起こりうる病気ですが、幼齢もしくは高齢な子は感染症に対しての免疫力が弱く、悪化しやすい傾向があります。
呼吸器疾患の症状緩和のための日常のケア
呼吸器疾患は、次のようなご家庭でのケアや生活習慣の改善によって、発症を完全に防ぐことは難しいものの、症状の緩和につながる可能性があります。
・適切な室温管理
冷暖房を活用して、室温は21℃〜28℃、湿度は50%程度を目安に保ちましょう。
・清潔な環境維持
寝床や毛布などは定期的に洗濯・掃除し、トイレや水受けは毎日きれいにしておきましょう。また、タバコや香水、消臭スプレーなどが原因になることもあるため、気をつけましょう。
・日常的な呼吸状態のチェック
1分あたりの呼吸数を数えられれば理想的です。とはいえ、ご家庭では呼吸数を数えることが難しい場合もあるので、普段との違いに早く気づけるよう、日頃から呼吸の仕方(口は開いていないか、苦しそうな様子はないかなど)に注目するとよいでしょう。
・室内飼育の徹底
感染症だけでなく、ケガや事故を防止するためにも、外には出さないようにしましょう。
・定期健診
腫瘍などの病気は、症状が現れたときにはかなり進行していることが多いため、定期的に健康診断を受けて早期発見に努めることが重要になります。特に中高齢になったら、半年に1回の健康診断をお勧めしております。
・予防接種
上部気道疾患は予防接種(混合ワクチン)によって予防が可能です。原則として1年に1回のワクチン接種を推奨しております。接種のスケジュールや内容については獣医師に相談し、適切に進めましょう。
まとめ
普段の生活で、猫の呼吸に違和感を覚えることは少ないかもしれません。逆に考えると、猫が苦しそうに呼吸をしているときはかなり病気が進んでいる可能性があるともいえます。特に呼吸困難や舌の色の変化などの症状が見られる場合は、緊急性が高いため、すぐに動物病院を受診してください。日頃から猫の健康状態を観察し、違和感を覚えたら早めに獣医師に相談することで、大切な愛猫の健康を守ることができます。
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