わかりやすい! 愛犬・愛猫の生検ガイド┃種類とリスク
病院コラム 2025.01.07
動物病院では犬や猫に対してさまざまな検査が行われますが、今回はその中でも「生検」に注目してご説明していきます。
まずは生検とはどんな検査なのか、どんな病気の時に必要なのか、そして検査を受ける上での注意点まで、詳しく解説していきます。最後には、よくある質問をQ&A形式でまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
■目次
1.生検とは? 基礎知識を解説
2.生検のリスクと注意点
3.腹腔鏡下生検が推奨される病気
4.腹腔鏡下生検の流れ
5.腹腔鏡下生検のよくある質問(Q&A)
6.まとめ
生検とは? 基礎知識を解説
生検とは、病変の一部を採取し、細胞や組織構造を顕微鏡で観察する検査のことです。
犬や猫で行われる生検には、次のような種類があります。
・針生検(細胞診)
細い針を病変に刺し、針の中に残った細胞を観察します。生検の中で最も侵襲性が低い方法ですが、組織構造までは確認できません。そのため、手術の必要性を判断したり、腫瘍であればその種類を見極めたりする際に利用します。体表の病変だけでなく、体内の病変に対しても広く活用されています。
針生検で診断が難しい場合や、組織構造の確認が必要な病変については、一部または全体を切除して病理組織検査を行い、診断を確定します。切除方法にはさまざまな種類があり、病変の大きさや部位によっては開腹手術で行う場合や、特殊な器具を用いて切除する場合があります。以下に、当院で実施している具体的な方法をご紹介します。
・切除生検
病変の一部もしくは全てを手術などにより切除し、病理検査を行います。体表のしこりはもちろん、あらゆる部位で行うことができます。
・パンチ生検
筒状のメスで病変の一部をくり抜き、組織を採取します。主に体表のしこりや皮膚疾患に対して行われることが多く、局所麻酔や全身麻酔下で実施されます。
・内視鏡生検
全身麻酔下で内視鏡を挿入し、専用の器具を用いて病変の一部を採取します。主に鼻咽頭や気管内腫瘍、食道、胃、腸管などの病変に対して行われます。
・腹腔鏡下生検
腹腔鏡をお腹の中に入れ、カメラで観察しながら病変の一部を採取して観察します。主に腹腔内臓器(肝臓や膵臓など)の病変に対して利用されます。
これらの方法は、病変の位置や疑われる病気に応じて使い分けています。このほかにも骨生検、骨髄生検、カテーテル生検なども行なっています。
病気は、見た目や画像検査の所見、症状からある程度推測はできても、正確な診断は困難です。生検では細胞や組織構造を確認できるため、より正確な診断が可能となり、適切な治療の選択にも結び付きます。
生検のリスクと注意点
・出血
・感染
・診断不能
こうしたリスクを最小限に抑えるため、当院では、血液凝固系検査やエコーにて血管の位置を確認しながら行ないます。
腹腔鏡下生検が推奨される病気
当院では腹腔鏡を導入しているため、腹腔鏡下生検もご利用可能です。この方法は、開腹手術による切除生検と比べて、次のようなメリットがあります。
・高解像度のカメラで拡大して観察できるため、肉眼よりも詳細な情報が得られる
・傷口が小さく済む
そのため当院では、実際に事例が多い順に、肝臓、リンパ節や腸管(補助下)、膵臓や腎臓に病変があるケースで実施をお勧めしています。検査時間も15分〜30分程度で済み、基本的に日帰りで実施可能です。
腹腔鏡下手術についてはこちらで詳しく解説しています
腹腔鏡下生検の流れ
腹腔鏡下生検は、基本的には腹腔鏡手術と同じような流れで行います。
1.事前検査:血液検査やレントゲン検査を行い、検査の可否を確認します。
2.検査前準備:検査当日は絶食していただき、お水も朝までにお済ませください。
3.検査開始:全身麻酔を施し、腹部に数か所小さな穴を開けます。炭酸ガスでお腹を膨らませてカメラを挿入し、モニターを見ながら病変を一部切り取り、検査用に処理しておきます。
4.検査後処置:検査後は傷口を縫合し、麻酔が覚めるまで待ちます。
5.退院:検査後の経過が良好であれば、当日中に退院可能ですが、予期せぬ出血や病変があった場合は数日入院が必要です。
6.検査後ケア:傷口が小さいとはいえ、抜糸するまでは激しい運動やシャンプーはお控えください。
また、ぐったりとして元気がない、傷口が膿んでいる、糸が取れてしまったなどの異変があれば、すぐにご来院ください。
腹腔鏡下生検のよくある質問(Q&A)
以下に、飼い主様からよくいただく質問をまとめました。腹腔鏡下生検をご検討する際の参考にしていただければと思います。
Q1.検査は痛みを伴いますか?
A.無痛ではありませんが、開腹下生検に比べると痛みはかなり少ないです。
Q2.検査後の日常生活に影響はありますか?
A.臓器が外気に触れないため、腸管の運動性も落ちにくく、検査当日から食事可能な場合がほとんどです。
Q3.結果が出るまでどのくらいかかりますか?
A.病理検査の結果は1週間程度かかります。
まとめ
生検は病気を正確に診断し、適切な治療につなげるための重要な検査です。特に腹腔鏡下生検は負担が少なく、体内の病変を詳しく調べるのに適した方法です。ペットの健康状態が気になる方や、診断に不安がある場合は、ぜひ当院までご相談ください。
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