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鼻の呼吸音の変化に要注意!|猫の鼻腔内腫瘍の見分け方

病院コラム 2025.02.20

健康な猫の呼吸音はとても静かで、耳を澄まさなければ聞き取れないほどです。そのため、呼吸音に異常があると感じる場合は、何らかの病気が隠れていることがあります。その中でも注意すべきなのが「鼻腔内腫瘍」です。この病気は自然に治ることはなく、放置すると悪化するおそれがあります。

今回は猫の鼻腔内腫瘍について、基本情報やよくある誤解を解説します。

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■目次
1.原因と症状
2.チェックポイント
3.同じような症状を示す病気
4.診断の流れ
5.治療の選択肢
6.よくある誤解
7.まとめ

 

原因と症状


鼻腔内腫瘍とは、鼻腔内に発生する腫瘍のことです。猫の場合、その多くが悪性腫瘍(がん)と言われ、中高齢(平均9〜10歳)の猫に多く見られます。

 

原因

犬ではタバコの煙が発症に関わると考えられていますが、猫においては明確な原因は分かっていません。また、猫の場合は特にリンパ腫が多く報告されており、その他には扁平上皮癌や繊維肉腫などが挙げられます。

 

症状

鼻腔内腫瘍には特有の症状がないため、鼻炎に似た以下のような症状が見られることがあります。

鼻水が増える
鼻血が出る
くしゃみをする
息苦しそうにする

 

腫瘍が大きくなると、顔の形が変わったり、目が飛び出したりすることもあります。

 

チェックポイント


鼻腔内腫瘍を早期に発見するためには、「見てわかる変化」と「見落としやすい変化」に注意を払うことが重要です。

 

見てわかる変化

顔の変形

 

見落としやすい変化

鼻水や鼻血
くしゃみ
呼吸の異常
体重の減少

 

猫の嗅覚は、食事の際にとても重要な役割を果たします。そのため、鼻が詰まってにおいが分からなくなると食欲が落ち、体重が徐々に減少することがあります。愛猫にこうした変化が見られた場合は、早めの受診を検討しましょう。

 

同じような症状を示す病気


鼻腔内腫瘍は、他の病気と症状が似ているため判別が難しい場合もあります。以下は同じような症状が見られる代表的な疾患です。

・感染性の鼻炎
細菌、ウイルス、真菌が原因となるもの。(猫ウイルス性鼻気管炎や猫風邪など)

・アレルギー性の鼻炎
ホコリやハウスダストによるアレルギー。

また、鼻腔内の腫瘍と考えられていたものが、喉に腫瘍ができているケースもあります。

 

診断の流れ


鼻腔内腫瘍を診断するには、レントゲン検査CT検査が行なわれます。必要に応じて、カテーテル生検内視鏡を用いた検査が追加されることもあります。

組織生検についてはこちらで詳しく解説しています

 

治療の選択肢


鼻腔内腫瘍の治療法は主に次の2つです。

化学療法:特にリンパ腫に対しては化学療法(抗がん剤治療)が効果的です。
放射線治療:対応可能な施設は限られますが、取り入れることで生存期間が延長するケースもあります。

治療は腫瘍の種類や猫の状態に応じて選択されます。獣医師とよく相談し、最適な方法を選びましょう。

 

よくある誤解


鼻腔内腫瘍はその症状から誤解を招きやすい病気です。以下によくある疑問や誤解をまとめました。

Q:慢性鼻炎だと思っていたけれど…
A:慢性鼻炎と鼻腔内腫瘍の初期症状は似ているので、普段の様子から判断することは困難です。鼻炎が長期間治らない場合は、一度画像検査を受けてみることをおすすめします。

Q:鼻腔内腫瘍には気づきにくいのでは?
A:確かに初期の異変は気づきにくいことがありますが、呼吸音や鼻血などの小さな変化を見逃さないことが重要です。

Q:腫瘍の場所によっては検査や治療が難しいのでは?
A:当院では細径内視鏡検査(直径2〜3mm)も行っています。鼻の奥に腫瘍がある場合でも対応可能ですので、ぜひ一度ご相談ください。

当院の腹腔鏡手術についてはこちらのページで紹介しております

 

まとめ


鼻腔内腫瘍の症状は、感染やアレルギーによる鼻炎と似ているため発見が遅れることがあります。呼吸音の変化や鼻水、鼻血が続く場合、ただの風邪だと決めつけずに注意深く観察するようにしましょう。愛猫の健康を守るために、気になる症状があれば早めに獣医師に相談することをおすすめします。

当院の腫瘍科についてはこちらのページで紹介しています

 

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犬と猫の腹腔鏡手術について知ろう! ┃メリットと適応症例

 

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