無症状でも経過観察が必要?|犬の水頭症の基礎知識
病院コラム 2025.02.27
子犬のあどけない姿は、私たちの心を癒してくれる存在です。しかし、新しく家族に迎える際には、注意しておきたい病気がいくつかあります。その一つが水頭症です。
この病気は、生まれつきの理由で脳が圧迫されることで発症し、神経症状を引き起こします。症状が軽い場合には気づかれにくいこともありますが、放置すると重症化することがあるため注意が必要です。
今回は、犬の水頭症について基礎知識を詳しく解説します。特にチワワやポメラニアンなどの小型犬の飼い主様には、ぜひ知っておいていただきたい情報です。
■目次
1.水頭症の症状と原因
2.診断方法
3.治療方法と予後
4.よくある誤解
5.まとめ
水頭症の症状と原因
水頭症とは、脳室(脳内のスペース)に脳脊髄液という液体が過剰に溜まることで、脳が圧迫される病気です。この状態が続くと、外見や行動、神経系に影響を及ぼします。
<主な症状>
水頭症の犬の多くに、以下のような異変が見られます。
・頭がドーム状に丸く大きい
・体格が小さい
・大人になっても頭のてっぺんがペコペコとへこむ
・ぼーっとして大人しい
こうした外見や精神面での異変があっても、元気に過ごしているように見えることも少なくありませんが、重症化すると次のような神経症状が見られることがあります。
・両目の斜視
・けいれん
・意識障害
・運動障害
<原因>
犬の水頭症は、先天性(生まれつき)のケースがほとんどです。
そのため、特に1歳未満の若い犬で発症することが多く見られます。発症しやすい犬種としては、チワワ、ポメラニアン、ヨークシャー・テリアなどの小型犬が挙げられます。
診断方法
けいれんや斜視などの神経症状が起きている場合、他の神経疾患と区別する必要があります。特に脳腫瘍やてんかんとは症状が似ているので、注意が必要です。
動物病院では以下のような検査を行います。
・神経学的検査・X線検査:初期評価に用いられます。
・超音波検査:頭頂部のへこみから脳の様子を確認します。
・CT・MRI検査:頭蓋骨内の状態を詳細に把握するための最適な検査法です。
治療方法と予後
水頭症の治療は、主に以下の2つに分けられます。
<内服薬治療>
脳室に溜まった脳脊髄液の量を調整するため、ステロイドや脳圧降下剤、利尿剤を使用します。
また、けいれん発作などの神経症状がある場合は、抗てんかん薬を併用することもあります。
<シャント手術>
脳室と腹腔を管(シャント)で人工的につなげることで、余分な脳脊髄液を腹腔へ流す方法です。ただし、この手術は専門的な知識や経験を要するので、一般的な動物病院ではあまり実施されていません。
よくある誤解
水頭症は、病気の進行具合によって症状にかなり差があるため、誤解される場面が多々あります。水頭症に関するよくある疑問や誤解を以下にまとめました。
Q:若い頃に症状が出なければ安心ですか?
A:ほとんどの場合は若いころに発症しますが、無症状のまま高齢になってから発症するケースもあるため、定期的な健康チェックが重要です。
Q:愛犬の頭が大きいのですが、水頭症ですか?
A:頭の形状は犬種や個体差が大きいため、頭が大きいだけでは判断できません。心配な場合は動物病院で検査を受けることをおすすめします。
Q:元気なのに水頭症と診断されました。誤診ですか?
A:水頭症は無症状のこともあります。脳室の拡大はあるものの、水頭症の症状が表れるほどではない場合がこれにあたります。もし診断結果に不安があれば、セカンドオピニオンを検討してください。
なお、当院ではセカンドオピニオンのご相談も承っております。他院での診断内容や治療法について、当院の意見や判断を提供いたします。
当院のセカンドオピニオンについてはこちらのページで紹介しております
まとめ
水頭症は特に小型犬で多く見られる疾患ですが、症状の有無や進行度合いはさまざまです。元気そうに見えても、将来的にけいれんや運動障害などが現れるケースがあります。少しでも気になる症状や特徴があれば、早めに動物病院にご相談ください。
当院では水頭症に関する診断や治療も行っておりますので、不安や疑問をお持ちの場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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