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【獣医皮膚科認定医が在籍】なかなか治らない犬・猫の皮膚病に|セカンドオピニオンのご提案

病院コラム 2025.04.30

犬や猫に多い病気のひとつに「皮膚病」があります。皮膚は外見から異変がわかりやすく、飼い主様が比較的早く気づける反面、診断や治療が複雑になるケースも少なくありません。

たとえば、

原因が特定できない
治療を続けても改善しない
いったん治ったように見えても再発する

といった症状がみられることがあります。

このような皮膚病を適切に診断・治療するには、皮膚科領域における正しい知識を持った獣医師の診察をおすすめします

当院では「獣医皮膚科認定医」による診察を行っています。セカンドオピニオンとしても多くの症例を受け入れ、治療方針や診断内容を丁寧に確認しながら、最適なアプローチを検討しています。

今回は、獣医皮膚科認定医とはどのような資格なのか、また認定医による診察のメリットや当院での治療の特徴について詳しくご説明します。

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■目次
1.獣医皮膚科認定医とは?
2.皮膚病におけるセカンドオピニオンの重要性
3.当院での診断と治療
4.当院の獣医皮膚科認定医と診療案内
5.まとめ

 

獣医皮膚科認定医とは?


獣医皮膚科認定医は、日本獣医皮膚科学会が認定する資格です。この資格を取得するには、以下の基準をすべてクリアする必要があります。

皮膚科講習の修了
認定試験の合格
学会発表や学術論文の報告

一般的な動物病院の獣医師(ホームドクター)は、皮膚病を含め幅広い病気に対応しますが、特定の疾患に対する知識が十分ではない場合もあります。

一方、獣医皮膚科認定医は、ホームドクターでありながら皮膚科領域において高度な診断と治療を提供できる獣医師です。

日本獣医皮膚科学会によると、2025年3月時点で獣医皮膚科認定医は全国で116名、埼玉県内ではわずか8名とされており、非常に貴重な存在であることがおわかりいただけるかと思います。

認定医と専門医の違い

「認定医」と混同されやすい資格に「専門医」がありますが、この2つは異なるものです。

資格 審査機関 特徴 活動範囲
獣医皮膚科認定医 日本獣医皮膚科学会 地域の動物病院で、皮膚病を得意とした診療を行う 一次診療(ホームドクター)
獣医皮膚科専門医 国際専門医協会 二次診療施設で、皮膚科専門の診療を行う 二次診療(紹介病院・専門病院)

獣医皮膚科認定医は、地域の一次診療を担いながら皮膚科の豊富な知識をもとに診療を行う獣医師であり、専門医とは活動のフィールドが異なります。

 

皮膚病におけるセカンドオピニオンの重要性


皮膚病には、適切な診断と治療が難しいケースが多く存在します。例えば、適切な治療を行えば2〜3週間ほどで改善する皮膚病もありますが、原因が特定しづらい場合や治療が長期化するケースも少なくありません。

特に、他院で治療が難航しているケースや、再発を繰り返す症例については、原因を丁寧に見極め、的確な対応を進めていくことが大切です。

▼皮膚病治療におけるセカンドオピニオンが必要なケース
原因の特定が難しい
治療を続けても改善が見られない
再発を繰り返す

このようなケースでは、獣医皮膚科認定医の豊富な知識が重要です。当院では、他院で診断や治療がうまくいかず、セカンドオピニオンとして来院されるケースも多いため、より適切な治療法を検討しながら対応しています。

セカンドオピニオンで相談が多い皮膚病

当院では、他院での治療が難航している皮膚病に関するご相談が多く寄せられます。ここでは、セカンドオピニオンとして特に相談が多い皮膚病について、その特徴をご紹介します。

犬アトピー性皮膚炎
食物やハウスダストやノミなどのアレルゲンに反応し、強いかゆみを伴います。長期的な管理が必要となるケースが多く、季節性に再発を繰り返すことが特徴です。

膿皮症
細菌感染による皮膚病です。特に深在性(より皮膚の深い部分にまで感染が広がった状態)の場合は治療が長期化します。また、どの抗菌薬を使うのか慎重に見極める必要があります。

自己免疫疾患
免疫の異常により皮膚にカサブタや水疱が現れます。命に関わることもあり、早期の治療介入が重要です。症状をコントロールするための長期的な治療計画が必要となります。

 

当院での診断と治療


皮膚病の診断には、さまざまなアプローチが必要です。適切な診断と治療を行うためには、複数の検査を組み合わせて慎重に進めることが重要です。
しかしながら、他院で十分な検査が行われないまま、抗生剤やステロイドが長期にわたり処方され、改善が見られないというケースも少なくありません。

当院では、一般的に以下のような検査を実施しています。

皮膚掻爬(そうは)検査:皮膚を引っかいて病原体の有無を確認します。
セロハンテープ検査:テープで皮膚表面を採取し、細菌や寄生虫を検出します。
抜毛検査:毛の一部を抜いて、毛根や皮膚の状態を調べ、異常の有無を確認します。
ウッド灯検査:真菌感染(カビ)の疑いがある場合に、紫外線ライトを使ってチェックします。
薬剤感受性試験:細菌感染が疑われる場合に、どの抗菌薬が有効かを判断するために行います。

これらの検査だけでは判断が難しいケースや、自己免疫疾患・皮膚腫瘍などが疑われる場合には、以下のようなより詳細な検査も行っています。

ホルモン検査
かゆみがない脱毛の場合、ホルモンバランスの異常が原因であることもあります。必要に応じてホルモン検査を行い、内分泌疾患の有無を確認します。

皮膚生検
皮膚の一部を採取し、顕微鏡で詳細に分析することで、より深い病理情報を得ます。診断が難しい場合に有効な検査のひとつです。

これらの検査は、認定医でなければできないわけではありません。しかし、診断の精度を高めるために選択肢を広げ、必要な検査をしっかりと行うことが認定医の強みです。

そして、豊富な知識を持った認定医が在籍していることで、検査や診断のアプローチが病院全体に共有されているため、全スタッフが共通の意識を持って診療に取り組んでいます。
他院で治療が難航している皮膚病や再発を繰り返す症例にお悩みの飼い主様は、ぜひ一度当院へご相談ください。

認定医ならではの治療アプローチ

認定医の豊富な知識は、診断だけでなく治療の選択と調整にも活かされます。

かゆみを抑える薬としてステロイドが一般的に知られていますが、皮膚病の治療は病気の種類や皮膚の状態によってさまざまであり、複数のお薬を組み合わせて治療を進めることもあります。

▼犬アトピー性皮膚炎の治療例
症状に応じて、以下のような段階的な治療計画を立てます。

1. ステロイドで急性症状を鎮める
まずは、迅速に効果が現れるステロイドを使用し、炎症を抑えます。

2. 抗体製剤で症状をコントロール
炎症が落ち着いてきた段階で、オクラシチニブやロキベトマブといった抗体製剤による長期的なコントロールを試みます。これらは比較的新しい治療薬で、症状の安定化を目指します。

3. 外用薬・サプリメント・プロバイオティクスでサポート
うまく症状がコントロールできている場合でも、急に薬をやめるのは難しいことがあります。そのため、外用薬(塗り薬)やサプリメント、プロバイオティクスなどの補助的な治療も併用しながら、徐々に薬の使用量を減らしていきます。

こうした細かな治療計画の調整や薬の組み合わせは、豊富な知識と経験が求められます。認定医であるからこそ、愛犬・愛猫の状態に合わせた最適な治療提案が可能です。

治療の目的は、単に症状を抑えることではなく、できるだけ負担を減らしながら健やかな生活を送れるようにすることです。

 

当院の獣医皮膚科認定医と診療案内


【獣医皮膚科認定医:島崎 徹】
これまでの経験を通じて、皮膚科・耳科・眼科の二次診療に特に注力してまいりました。「人と動物が幸せになる治療」をモットーに、飼い主様が安心して相談できるホームドクターであり続けたいと考えております。日々、知識と技術の向上を目指して努力しています。

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よくある質問と回答(FAQ)

Q. 食物アレルギー検査を受けましたが、症状が改善しません。どうすればよいでしょうか?
A. 食物アレルギー検査については信頼性への懸念がある点から、当院では、確実な診断を行うために「除去食試験」を推奨しています。一定期間、特定の食材を除去した食事を続けることで、症状の変化を観察しながら診断を進めていきます。

Q. 痒みがひどく、長期間ステロイドを飲んでいますが大丈夫でしょうか?
A. 痒みでステロイドをやめられないケースは稀です。症状の程度や体調に合わせて治療法を見直すことも可能ですので、ぜひ一度ご相談ください。

初診・セカンドオピニオンの流れと準備

当院での獣医皮膚科認定医の診察は、以下の流れで行っています。

▼ステップ1:指名
・ご予約時もしくはご来院時に「皮膚科希望」「島崎の指名」をお伝えください。
・指名料などはいただいておりません。

▼ステップ2:事前準備
皮膚科問診票を事前にご記入いただくと、診療がスムーズになります。
・セカンドオピニオンをご希望の場合は、現在内服中のお薬や、服用期間、過去の診断内容などがわかる資料をご持参ください。

▼ステップ3:診察当日
・問診と視診を行い、必要に応じて各種検査を実施します。
・検査結果に基づき、最適な治療方針をご提案します。
・必要な検査によって費用は異なります。費用については検査時にご説明いたします。

診療事例のご紹介

以下は他院での誤った治療に気づき、ステロイド点眼の使用を中止したことで、ステロイド皮膚症が改善したケースです。

▼Before

当院での治療を開始する前の犬の写真。

▼After

当院での治療後の犬の写真。

島崎獣医師は皮膚科だけでなく眼科にも精通しており、「日本獣医眼科カンファレンス」や「比較眼科学会」にも所属しています。そのため、皮膚と関連する眼科疾患の診断・治療も可能です。皮膚の症状だけでなく、眼に関するお悩みもお気軽にご相談ください。

 

まとめ


当院では、獣医皮膚科認定医による診療を提供し、コントロール不良の皮膚病の犬や猫に対応しています。埼玉県日高市や周辺地域で、皮膚病が治らない・再発を繰り返すとお悩みの飼い主様は、ぜひ一度当院までご相談ください。

 

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