犬の耳がにおう・耳垢が多い|繰り返す外耳炎と耳道内視鏡が必要なケース
病院コラム 2026.06.29
「最近、愛犬の耳がなんだかにおう気がする」
「耳垢が増えてきたけれど、様子を見ても大丈夫?」
「外耳炎と診断されて薬を使っているのに、何度も繰り返してしまう」
耳のにおいや耳垢の変化は、外耳炎の初期サインとして見つかることが少なくありません。しかし、単純な耳のトラブルと思っていても、実際には耳の奥に問題が隠れていたり、アトピーなどの基礎疾患が関係していたりすることがあります。
特に、一度治ったように見えても何度も再発する外耳炎では、耳だけを治療していても十分な改善につながらないケースがあります。
今回は、犬の耳がにおう、耳垢が多い、といった症状の背景にある外耳炎について、なぜ繰り返すのか、どのような検査や治療が必要になるのかを解説します。

■目次
1.犬の外耳炎のサイン|こんな症状は要注意
2.慢性化する外耳炎|なぜ治らない・繰り返すのか
3.耳道内視鏡(ビデオオトスコープ)が必要なケースと当院の強み
4.ご家庭でできる耳のチェックとケア
5.継続的なケアの大切さ|長期管理の視点
6.よくあるご質問
7.まとめ|耳の不調は皮膚からのサインかもしれません
犬の外耳炎のサイン|こんな症状は要注意
犬の外耳炎では、飼い主様が日常生活の中で気づけるサインがいくつかあります。次のような様子が見られる場合は注意が必要です。
・耳を頻繁にかく
・頭をしきりに振る
・耳から独特のにおいがする
・耳垢が多い/黒っぽい/茶色っぽい
・耳の中が赤くなっている/腫れている
・耳を触ると嫌がる/痛がる
外耳炎が進行すると痛みやかゆみが強くなり、頭を振ったり耳をかいたりする回数が増えることもあります。耳垢やにおいだけの問題に見えても、診察してみると外耳炎が長期間続いていたことが分かる場合もあります。
慢性化する外耳炎|なぜ治らない・繰り返すのか
外耳炎の治療を続けているにもかかわらず、何度も再発してしまう犬は少なくありません。診療をしていると、耳の治療だけでは改善が続かず、繰り返し症状が出てしまうケースも多く経験します。
<マラセチアや細菌との関係>
外耳炎の説明でよく登場するマラセチアや細菌は、もともと耳の中に存在する常在菌です。そのため、存在していること自体が悪いわけではありません。
問題なのは、耳の環境が悪化し、常在菌が過剰に増殖してしまうことです。その結果として炎症が起こり、外耳炎につながることがあります。
このような場合、点耳薬などで一時的に症状が落ち着いても、耳の環境が改善されなければ再発を繰り返してしまうことがあります。
<自己流ケアや別の原因が関係することも>
耳ヒゼンダニなどの寄生虫が原因となることもあります。また、綿棒で耳の奥まで掃除したり、頻繁にイヤークリーナーを使用したりする自己流ケアが、耳への刺激となってしまうこともあります。
<実はアトピーが隠れていることも>
では、なぜ耳の環境が悪化するのでしょうか。その理由のひとつが、「アトピー性皮膚炎」です。成犬で慢性的に外耳炎を繰り返している場合、その背景にアトピーやアレルギーなどの体質的な問題が隠れていることがあります。
「耳の病気なのに皮膚が関係あるの?」と思われるかもしれませんが、耳の中の皮膚も体の皮膚の一部です。アトピーによって皮膚のバリア機能が低下すると、耳の中でも炎症が起こりやすくなります。
そのため、繰り返す外耳炎では耳だけを治療するのではなく、その原因まで含めて考えることが大切です。
外耳炎とアトピーとの関連についてはこちらで詳しく解説しています
耳道内視鏡(ビデオオトスコープ)が必要なケースと当院の強み
何度も再発する外耳炎では、耳の奥に問題が残っていることがあります。そのような場合に役立つのが、耳道内視鏡(ビデオオトスコープ)です。
<ビデオオトスコープでわかること>
ビデオオトスコープを使用すると、通常の耳鏡では確認しにくい耳道の深部や鼓膜付近まで観察できます。
例えば、
・耳道の奥の炎症
・鼓膜の状態
・ポリープ
・腫瘤
・異物
・固着した耳垢
などを詳しく確認できます。
<検査を検討するケース>
次のようなケースでは、ビデオオトスコープによる精査が役立つことがあります。
・外耳炎を何度も繰り返している
・治療しても改善が乏しい
・耳垢が大量に出る
・強いにおいが続く
・腫瘤やポリープが疑われる
慢性化した外耳炎では、耳道の奥に汚れやかさぶた状の分泌物が固着していることもあります。そのような場合は、全身麻酔下で耳道内をしっかり観察しながら洗浄を行うことで、薬が届きやすい環境を整えられることがあります。
<当院の耳科診療について>
当院では、ビデオオトスコープやデュアルダイオードレーザーなどの設備を活用し、耳の奥までしっかり評価したうえで必要な処置を行える体制を整えています。
また、全身麻酔下での洗浄や処置が必要な場合には、術前検査や麻酔モニタリングを行い、安全面に配慮したうえで実施しています。
外耳炎を繰り返している場合や、「現在治療を受けているものの症状がなかなか落ち着かない」「今後の治療方針について別の意見も聞いてみたい」といったセカンドオピニオンのご相談にも対応しています。
ご家庭でできる耳のチェックとケア
耳のトラブルは、早めに気づくことで重症化を防げることがあります。普段から耳の状態を観察し、異変があれば早めに相談することが大切です。
<定期的にチェックしたいポイント>
週に1回程度を目安に、次のようなポイントを確認してみましょう。
・においが強くなっていないか
・耳垢が増えていないか
・耳の中に赤みが出ていないか
・耳をかいたり頭を振ったりする様子が増えていないか
<避けた方がいいこと>
耳垢が気になると、こまめに掃除をしたくなるかもしれません。しかし、洗浄のしすぎは耳の皮膚への刺激となり、かえって状態を悪化させてしまうことがあります。
次のようなケアは避けるようにしてください。
・綿棒で耳の奥まで掃除する
・過度に耳洗浄を繰り返す
・人間用の薬を使用する
また、市販のイヤークリーナーによるケアだけで改善を目指そうとすると、本来必要な検査や治療のタイミングを逃してしまうこともあります。耳の状態によって適切なケア方法は異なるため、不安な場合は動物病院へご相談ください。
<スキンケアも大切な外耳炎管理のひとつ>
アトピーが関係している場合は、耳だけでなく皮膚全体のケアも重要です。シャンプーや保湿などのスキンケアによって皮膚の状態を整えることが、外耳炎の管理につながることがあります。
ご自宅でのケアは重要ですが、それだけで解決しようとせず、動物病院と一緒にその子に合ったケアを続けていくことが大切です。耳の症状だけでなく、皮膚の状態も含めて継続的に見守っていきましょう。
継続的なケアの大切さ|長期管理の視点
アトピー性皮膚炎は「完全に治す」というよりも「うまく付き合っていく」病気です。
耳の症状が落ち着いたあとも、
・皮膚の状態の確認
・季節ごとの変化への対応
・アレルゲン管理
・食事管理
などを続けていくことが大切になります。
また、症状が軽いうちから管理を行うことで、外耳炎の悪化や再発を抑えやすくなる場合もあります。そのため、症状が出たときだけ受診するのではなく、定期的に状態を確認していくことをおすすめしています。
よくあるご質問
Q. 外耳炎は自然に治りますか?
軽度の場合は症状が落ち着くこともありますが、原因が残っていると再発につながることがあります。特に繰り返す場合は早めの受診をおすすめします。
Q. 市販薬だけで治療できますか?
市販薬だけで原因に合った治療を行うことは難しいため、おすすめできません。原因に合わない薬を使用するとかえって悪化することもあるため、まずは診察を受けて原因を確認することが大切です。
Q. アトピーは何歳頃から発症しますか?
若い年齢から症状が出ることが多くみられますが、発症時期には個体差があります。
Q. 耳道内視鏡検査は必ず必要ですか?
すべての外耳炎で必要になるわけではありません。慢性化している場合や、通常の治療で改善が乏しい場合に検討します。
Q. 治療費はどのくらいかかりますか?
検査内容や治療方法によって異なります。診察時に状態を確認したうえであらかじめご説明いたします。
まとめ|耳の不調は皮膚からのサインかもしれません
耳のにおいや耳垢の増加、繰り返す外耳炎は、体質的な問題が隠れているサインかもしれません。実際に、耳だけを治療しても改善が続かず、再発を繰り返してしまうケースは多く見られます。
当院では、ビデオオトスコープを用いた精密検査や必要に応じた耳道洗浄を行いながら、耳の状態だけでなく、その背景にある原因まで含めて診療しています。セカンドオピニオンのご相談にも対応しておりますので、治療方針について気になることがある場合もお気軽にご相談ください。
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