犬の認知症は中年齢から始まるって本当?初期症状やチェック方法とは
病院コラム 2025.07.29
「最近ちょっと反応が鈍くなったかも…」「夜になると落ち着きがない」——こうした行動の変化は、もしかすると「認知症」の始まりかもしれません。
犬の認知症は、高齢の犬に多い病気として知られていますが、実は7~9歳ごろの中年齢から兆しが見られることもあります。特に初期症状は加齢による変化と見分けがつきにくく、気づいたときには進行してしまっていたというケースも少なくありません。
今回は、犬の認知症に関する基本的な知識から、初期のサインやチェック方法、ご家庭でできる予防・ケアについて詳しくご紹介します。

■目次
1.犬の認知症とは?|見逃されやすい初期サイン
2.基礎疾患が認知症に影響することも
3.早期発見のカギは「DISHAAチェック」
4.認知症と向き合うための予防とケア
5.まとめ
犬の認知症とは?|見逃されやすい初期サイン
犬の認知症(認知機能不全症候群)は、加齢により脳の神経細胞が少しずつ変性していくことで起こります。学習能力や記憶力、空間認識、睡眠サイクル、社会的な関わりといった大切な機能が徐々に衰えていきます。
よく見られる初期のサインとして、次のような行動が挙げられます。
・呼びかけに対する反応が鈍くなる
・トイレの失敗が増える
・無駄吠えが多くなる
・夜間にそわそわと歩き回る
こうした変化は「年のせいかな」と見過ごされがちですが、認知症の始まりである場合があります。
認知症は10歳を超えてから発症するイメージが強いものの、7〜9歳ごろの中年齢期から症状が現れるケースも報告されています。特にシニア期に差し掛かる犬では、ささいな変化も注意深く見守ることが大切です。
基礎疾患が認知症に影響することも
犬の認知症は、加齢にともなう脳の変化が主な原因とされていますが、実はそれ以外にも、全身の健康状態や持病が影響することがあるといわれています。
たとえば、以下のような基礎疾患は、脳の血流や神経の働きに悪影響を及ぼし、認知症の発症リスクを高めることがあります。
・肥満
・糖尿病
・高血圧
これらの病気を抱えている犬は、健康な犬に比べて認知機能の低下が早く見られることもあります。そのため、持病がある犬は早めに認知機能のチェックを受けることが推奨されます。
また、認知症に似た症状を示す病気にも注意が必要です。たとえば、尿路結石や甲状腺機能低下症、脳腫瘍などは「トイレの失敗が増える」「無気力になる」「ふらつく」といった行動の変化を引き起こすことがあります。
これらの症状は一見すると認知症と区別がつきにくいため、年齢のせいと決めつけず、違和感を覚えた時点で一度獣医師にご相談いただくことをおすすめします。
早期発見のカギは「DISHAAチェック」
犬の認知症を早めに見つけるためには「最近の様子を客観的にふり返る」ことが大切です。当院では、その手がかりとして「DISHAA(ディシャー)チェック」という方法を使っています。
これは、認知症のときに見られる変化を6つの視点から確認できるもので、それぞれの英単語の頭文字をとって「DISHAA」と呼ばれています。
・D(Disorientation):迷子のような行動
・I(Interaction):人との関わり方の変化
・S(Sleep-wake cycle):睡眠リズムの変化
・H(House-soiling):トイレの失敗
・A(Activity):動きの変化
・A(Anxiety):不安な様子
このチェックでは、それぞれの項目について「どのくらい当てはまるか」を獣医師がスコアにして、軽度・中等度・重度といった目安にまとめていきます。
特別な検査機器は使わず、普段の様子をお伺いすることで進められる方法なので、体に負担をかけることはありません。
「最近ちょっと様子が変わったかも」と感じたら、こうしたチェックを通して少し早めに気づくきっかけにしていただければと思います。また、見た目ではわかりにくい変化もあるため、定期的にチェックを行うことが、早期発見・早期ケアにつながります。
認知症と向き合うための予防とケア
残念ながら、認知症の発症を完全に防ぐことは難しいとされています。ですが、日頃の過ごし方を工夫することで、進行のスピードをゆるやかにしたり、症状が軽く保たれたりする可能性があることもわかってきています。
ここでは、日常生活で取り入れやすい予防やケアのポイントをご紹介します。
・適度な運動
無理のない範囲での散歩や軽い遊びは、体を動かすことによる刺激になるだけでなく、肥満予防にもつながります。外の空気にふれたり、においをかいだりすることが、脳にも良い刺激になると言われています。
・落ち着ける環境づくり
家具の位置を頻繁に変えない、においのついたタオルやお気に入りのブランケットを寝床に置くなど、安心できる空間を保つことが心の安定につながります。年齢とともに不安を感じやすくなる犬もいるため「いつもと同じ」が大切になることもあります。
・知育グッズなどの活用
フードパズルや簡単な探しものゲームなどを取り入れると、食べる楽しさと同時に頭を使う時間もつくれます。急に難しいものを与えるよりも、楽しみながらできるものを選んであげましょう。
・フードやサプリメントの見直し
DHAやEPA、ビタミンEなどの抗酸化成分は、脳の健康を守るためのサポートとして注目されています。こうした成分を含む専用のフードやサプリメントは、食生活の選択肢として知っておいて損はありません。使用する際は、獣医師と相談しながら取り入れるのがおすすめです。
こうした日々の小さな積み重ねが、愛犬の心や体の健康を穏やかにサポートします。「できることから少しずつ」が大切です。焦らず、愛犬と飼い主様のペースで取り組んでいきましょう。
まとめ
犬の認知症はゆっくりと進行することも多く「年齢のせいかな?」と見過ごされやすい病気です。しかし、早めに気づいてケアを始めることで、不安や混乱を和らげ、穏やかな生活を続けられる可能性もあります。
また、認知症に限らず、年齢を重ねるにつれてさまざまな病気のリスクは少しずつ高まっていきます。そのため、定期的な健康チェックを受けることは、体調の変化にいち早く気づき、愛犬の健やかな毎日を守るうえでとても大切です。
「なんだかいつもと違うかも」と感じたときは、どうぞお気軽に当院までご相談ください。早めの行動が、愛犬の安心できるシニアライフにつながります。
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