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「ダニ予防しているから安心」は誤解かも?猫のSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を解説

病院コラム 2026.01.09

最近「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」という名前をニュースなどで目にする機会が増えてきました。SFTSは、原因ウイルスを保有するマダニに刺されることで感染する危険なウイルス性疾患です。

「うちはダニ予防をしているから大丈夫」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、実は予防薬だけでは完全に防げるわけではありません。また、特に外に出る猫(外猫・半外猫)は感染リスクが高く、より慎重な対策が必要です。加えて、野良猫を保護した際も、マダニに刺されている可能性や感染状況が分からないため、注意が必要になります。

今回は、愛猫だけでなくご家族の健康も守るために、SFTSの特徴・予防策・注意点を解説します。

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■目次
1.原因と感染経路|「ダニ予防薬だけでは防げない」感染メカニズム
2.猫に見られる主な症状|初期の変化を見逃さない
3.診断と治療|早期発見・早期対応が生死を分ける
4.猫から人への感染リスクとご家庭での注意点
5.まとめ|「完全な予防薬はない」からこそ、外出管理と早期受診を

 

原因と感染経路|「ダニ予防薬だけでは防げない」感染メカニズム


SFTSは、SFTSウイルスを保有するマダニに刺されることで感染します。マダニが動物を噛む際、唾液と一緒にウイルスが体内へ入り込み、血液の中で増えていくという仕組みです。

マダニは山の中だけでなく、草むら・公園・庭先・畑の周辺など、身近な場所にも生息しています。そう聞くと「完全室内飼育だから安心」「うちの子は外に出ないから大丈夫」と感じる方もいるかもしれませんが、マダニは、

飼い主様の衣服
外から帰宅した同居動物
洗濯物やアウトドア用品

などに付着して室内へ入り込むこともあり、完全にリスクをゼロにするのは難しいのが現状です。

また、ダニ予防薬を使用している場合でも注意が必要です。多くの予防薬は 「噛まれた後の感染予防」 を目的としており「ダニを寄せつけない」「噛まれること自体を防ぐ」効果はないためです。

そのため、予防薬を使いつつ、外出自体を控えることが最も有効な予防策といえます。

 

猫に見られる主な症状|初期の変化を見逃さない


SFTSはさまざまな動物に感染しますが、猫では症状が重く出やすいことが特徴です。早期に気づいてあげるためにも「最初にどんな変化が出やすいのか」を知っておくことが大切です。

初期症状は、感染から数日〜2週間前後で表れることが多く、次のようなサインがみられます。

元気や食欲の低下
発熱
黄疸(白目や歯ぐきが黄色く見える)
下痢や嘔吐
白血球減少症・血小板減少(血液検査で確認される異常)

白血球減少症・血小板減少症は、動物病院での血液検査で初めて分かる変化であり、外見では気づきにくい場合があります。そのため「いつもより元気がない」「ごはんを残す」「なんとなく調子が悪そう」など、小さな違和感でも早めに受診することが重要です。

 

診断と治療|早期発見・早期対応が生死を分ける


SFTSが疑われる場合には、問診で生活環境や外出状況を丁寧に確認しながら、複数の検査を組み合わせて診断します。

主な検査には次のようなものがあります。

血液検査:白血球や血小板の数値、肝臓・腎臓など臓器の状態を確認します
PCR検査:SFTSウイルスの遺伝子を直接検出する検査で、確定診断に役立ちます
抗体検査:体がウイルスに反応しているかどうかを調べるために行います

これらの検査を組み合わせることで「今どの臓器にどの程度負担がかかっているのか」「ウイルスが関与しているのか」を総合的に判断し、治療方針を決めていきます。

治療については、現時点では有効な抗ウイルス薬が存在しないため、点滴や投薬による対症療法(症状を和らげ、臓器の働きを支える治療) が中心となります。

SFTSは猫では進行が非常に速いとされ、“どれだけ早く治療を始められるかどうか” が回復の大きな分かれ目になります。「少し元気がない気がする」「食欲が落ちている」といった小さな変化でも、どうか気になることがあれば早めにご相談ください。

早期の対応こそが、愛猫の負担を最小限にし、回復につながる重要な一歩となります。

 

猫から人への感染リスクとご家庭での注意点


SFTSは「人獣共通感染症」と呼ばれ、動物だけでなく人にも感染する可能性がある疾患です。特に猫では症状が強く出やすいため、体内のウイルス量が増えることで、唾液や血液などを介して人に感染するリスクが高まるとされています。

そのため、看病やお世話をする際には、次のような対策が大切です。

手袋、ゴーグル、マスクの着用
適切な手洗い・消毒の徹底
体液や排泄物との直接の接触を避ける

また、状態の悪い猫を保護した場合は、背景が分からないため一層の注意が必要です。

さらに、高齢の方や免疫力が低下している方は重症化のリスクが高いため、できる限り直接の接触は避け、適切な予防対策を行うことが大切です。SFTSの正しい知識を持つことで、愛猫だけでなく、ご家族全員の健康を守ることにつながります。

受診前のご連絡をお願いします

当院では、感染拡大を防ぐことを最優先に考え、事前のご連絡をお願いしています。
あらかじめご相談いただくことで、車内待機を含めた来院方法や診察時の対応について、状況に応じた具体的なご案内が可能です。皆さまに安心して診察を受けていただくために、ご理解とご協力をお願いいたします。

 

まとめ|「完全な予防薬はない」からこそ、外出管理と早期受診を


SFTSは、愛猫の命に関わるおそれのある感染症であり、ダニ予防薬だけでは完全に防ぐことができない点が大きな特徴です。そのため、感染リスクを減らすためには、完全屋内飼育を基本にし、外出時の環境管理やこまめな健康チェックを心がけていただくことがとても大切です。

また、SFTSは進行が早いため「いつもより元気がない」「食欲が落ちている」「なんとなく様子が違う」といった小さな変化でも、早期に気づけることが命を守る大きな鍵になります。気になるサインがあった場合は、自己判断で様子を見る前に、早めに動物病院へご相談ください

なお、人におけるSFTSの症状や感染状況、注意点については、国立感染症研究所が公表している情報が参考になります。ご家族の健康管理の観点からも、必要に応じて公的機関の情報をご確認いただくことをおすすめします。

国立感染症研究所が公開しているSFTSに関する情報はこちら(※外部サイト)

 

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