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雨上がりの散歩に潜むリスク|犬のレプトスピラ症とその予防法

病院コラム 2026.01.09

お散歩コースの河川敷や、雨上がりにできた水たまりなど、一見すると何気ない日常の中にも、実は感染症のリスクが潜んでいます。そのひとつが「レプトスピラ症」です。

レプトスピラ症は細菌感染症の一種で、腎臓や肝臓にダメージを与えることがあります。重症化すると命に関わることもありますが、ワクチンで予防が可能な病気でもあります。

今回は、レプトスピラ症の原因や症状、そして愛犬を守るためにできる予防策について解説します。

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■目次
1.原因と感染経路|「水たまり」「冠水後の道路」に注意
2.主な症状|腎臓・肝臓にダメージを与える怖い病気
3.診断と治療|早期発見が回復の鍵
4.予防とご家庭での注意点|ワクチン+環境管理で守る命
5.まとめ

 

原因と感染経路|「水たまり」「冠水後の道路」に注意


レプトスピラ症は、レプトスピラ菌というらせん状の細菌が原因です。自然界では、ねずみなどの野生動物が菌を保有しており、尿中に含まれた菌が土壌や川、下水などを汚染します。

犬は、こうした汚染された水や土(水たまり・川・下水など)を口にしたり、菌を含む水が皮膚の傷口や粘膜から侵入したりすることで感染します。特に台風や大雨の後は、下水や土壌が氾濫して菌が広がりやすく、散歩中の感染リスクが高まります。

「うちはあまり外に出ないから大丈夫」と思っていても、飼い主様の靴底などに菌が付着して家の中へ持ち込まれる可能性もあるため、油断は禁物です。

 

主な症状|腎臓・肝臓にダメージを与える怖い病気


レプトスピラ菌には10種類以上の血清型があり、型によって症状の表れ方に違いがありますが、犬でよく見られる主な症状には共通点があります。

食欲や元気がなくなる
ふらつき
嘔吐
発熱
尿が出にくい、または出なくなる(急性腎障害による)
歯ぐきや白目が黄色くなる(黄疸)

これらの症状は、感染から数日で急に表れ、短期間のうちに体調が大きく悪化することがあります。

初期症状は「ちょっと元気がない」「ごはんを残す」といった軽い体調不良のように見えることもあります。しかし放置すると、腎臓や肝臓の働きが急速に弱まり、重症化することもあるため、少しでも違和感を覚えたら早めに受診することが大切です。

 

診断と治療|早期発見が回復の鍵


レプトスピラ症は、症状の進行が速い感染症です。そのため、日々の生活環境や症状の変化を丁寧に確認しながら、できるだけ早く原因を特定するための検査を進めていきます。

診断

レプトスピラ症が疑われる場合は、状態を正確に判断するために、次のような検査を適切に組み合わせて診断します。

血液検査:腎臓・肝臓の数値、炎症反応、貧血や黄疸の有無をチェック
尿検査:尿の性状を確認し、レプトスピラ菌が疑われる所見がないかを調べる
遺伝子検査(PCR):菌そのものの遺伝子を検出し、より確実に感染の有無を判断

これらの検査を行うことで「どの臓器に負担がかかっているのか」「細菌が関与しているのか」を早い段階で明らかにし、適切な治療方針につなげます。

治療

検査結果からレプトスピラ症と診断できた場合は、速やかに治療を開始することが重要です。

レプトスピラ菌に効果のある抗生剤を使用しながら、弱っている腎臓・肝臓の働きをサポートするために点滴治療(支持療法)を併用します。細菌の増殖を抑えると同時に、臓器への負担を最小限に抑えることで回復を目指します。

早期治療が回復の決め手に

レプトスピラ症は、早期に治療を始められれば回復が期待できる一方、時間が経つほど重症化しやすい傾向があります。「少し様子を見てから…」という判断が、結果的に治療の遅れにつながることも少なくありません。

もし散歩の状況や生活環境に心当たりがある、あるいは元気や食欲の低下・嘔吐・黄疸など、少しでも「おかしいな」と感じた時点で受診することが、愛犬の命を守る一番の近道となります。

 

予防とご家庭での注意点|ワクチン+環境管理で守る命


レプトスピラ症は、日常の環境に潜む細菌が原因となる感染症ですが、適切な予防によってリスクを大きく下げることができます。

ワクチンで重症化を防ぐ

レプトスピラ症は、ワクチンで予防できる数少ない感染症です。
複数の血清型(タイプ)が存在するため、ワクチンを接種していても100%感染を防げるわけではありませんが、重症化のリスクを大きく下げる効果が期待できます。

流行地域に住んでいる
水辺のお散歩が多い
アウトドアやキャンプに同行する

といった環境の犬は、特に定期的な接種が推奨されます。

散歩時の環境管理で感染リスクを下げる

ワクチンに加えて、日常のちょっとした工夫も予防に大きく役立ちます。

雨上がりや台風後の散歩を控える
水たまり・川辺・下水付近には近づけない
ねずみが出そうな場所を避ける

ワクチンによる予防が完全ではない以上、感染を防ぐためには、菌との物理的な接触をできるだけ避けることが何より重要です。

レプトスピラ菌は湿った場所で生存しやすいため、特に水たまりと冠水後の道路には注意が必要です。「いつもの散歩コースだから大丈夫」と思わず、天候や周囲の状況を見ながら調整してあげましょう。

また、都市部におけるレプトスピラ症の感染経路として、ネズミとの接触が大きく関与しているとの報告もあり、都内では約97%がネズミ由来とされるデータもあります。ネズミがいそうな場所や、その痕跡が見られる環境では、特に注意が必要です。

人への感染を防ぐために

レプトスピラ症は、犬から人へ感染することがある「人獣共通感染症」です。特に感染犬の尿には菌が含まれることがあるため、ご家庭でも注意が必要です。

排泄物の処理時には手袋を着用
処理後は手洗い・消毒を徹底
感染が疑われる場合は、無理に触れず動物病院へ相談

ご家族全員の健康を守るためにも、正しい知識のもとで適切に対処することが大切です。

 

まとめ


犬のレプトスピラ症は、早期発見・早期治療で回復が期待できる一方、放置すると重症化するリスクがある感染症です。「なんとなく元気がない」「急に嘔吐した」など、気になる変化があれば早めに動物病院を受診しましょう。

また、定期的なワクチン接種と散歩時の環境管理が最も効果的な予防策です。「うちの子にも必要?」「ワクチンの種類が多くて迷う」そんな時は、ぜひ一度当院にご相談ください。生活スタイルを踏まえて最適なプランをご提案いたします。

 

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