犬のアトピー性皮膚炎について┃生涯にわたる管理が必要
病院コラム 2023.10.31
犬の皮膚は人よりも薄いことから、皮膚病になりやすいといわれています。「アトピー性皮膚炎」も皮膚病の一つで、多くは若齢で発症します。また、環境アレルゲンに対するアレルギー反応や皮膚のバリア機能の異常が原因で起こるため、完治が難しく、生涯に渡って付き合っていく必要があります。そこで今回は、そんな犬のアトピー性皮膚炎についてご紹介したいと思います。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
アトピー性皮膚炎の多くは、3歳までの若い時期に初めて症状が現れます。
また、原因には大きく分けて2つあり、花粉やダニなど環境中のアレルゲンに対するアレルギー反応(環境的要因)と、体質的に皮膚のバリア機能が低い「遺伝的な要因」が複雑に交錯しています。
柴犬やシーズー、ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア、フレンチ・ブルドッグなどに好発しますが、小型犬を中心にどんな子でもなる可能性があります。
症状
目の周りや口の周りや耳介、手足の付け根、手先・足先などに痒みを伴い、赤くなってしまいます。患部を舐める、かく、噛む、こすりつけるなどの行動がみられるようになります。加えて繰り返す外耳炎もアトピーの可能性が高いです。
また、痒みは慢性的に続くため、次第に脱毛や色素沈着、皮膚の肥厚などがみられるようになります。また、環境的要因の場合、花粉が多い春先、湿度の高い梅雨の次期に症状が悪化するなど、多くの場合季節性が関係しています。
診断方法
実は、症状としてあらわれるかゆみがアトピー性皮膚炎によるものかどうかを判定する検査はありません。
例えば、足先をしつこく舐めているからといって必ずしも皮膚病とは限らず、痛みを抱えている可能性もあります。そのため、診断のためには問診を行ったあとに以下のような検査を実施し、他の病気との鑑別を行なうことが重要になります。
・視診
・触診
・皮膚検査(細胞診、毛検査、掻爬検査、病理検査)
・血液検査
・ホルモン検査
・レントゲン検査
など
なお、当院ではアレルギー検査については信頼性への懸念がある点と費用が高額になる点を理由に実施を推奨しておりません。アレルギーの有無については除去食試験(アレルギーが出にくい食事への変更でアレルゲンを特定する試験のこと)により実施いたします。
治療方法
残念ながら完治は難しいため、症状を軽減すること、うまく付き合うことを目指して継続的に治療を行っていく必要があります。
当院ではステロイド以外にも、アポキルやサイトポイント、アトピカなどの薬を使用して、痒みをコントロールしていきます。また、補助的にシャンプーや保湿剤、サプリメント、療法食などを取り入れることもあります。
予防法やご家庭での注意点
完全に予防することは難しいものの、室内を清潔に保ったり散歩中に草むらに入らないようにしたりして、アレルゲンに触れないようにしましょう。また季節性がある場合は時期が近づいてきたら初期の段階からしっかりと治療を始めてあげることで重症化せず、かゆみと上手に付き合っていくことができます。
また、皮膚に異常がみられた場合は速やかに動物病院を受診するようにしましょう。
まとめ
犬のアトピー性皮膚炎は多くは若齢で発症し、その後長期的な治療が必要になります。しかし、症状が酷くなったり調子が良くなったりを繰り返すため、精神的に疲れてしまう飼い主様も少なくありません。アトピー性皮膚炎は生涯にわたる管理が必要であり、獣医師と飼い主様と協力した治療が必要です。
当院の皮膚科治療は日本獣医皮膚科学会認定医の島崎徹が中心となり、専門的な知識を生かした診療が可能です。
皮膚病に関するお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
ノヤ動物病院
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