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犬の骨関節炎について┃肥満や運動不足が原因

病院コラム 2023.12.26

犬の骨関節炎は関節軟骨の変性によって起こる進行性の病気で、歩行や運動に影響するため、生活の質(QOL)を大きく損なう原因となります。また、肥満や運動不足などが関与していると考えられているため、ご家庭の飼育環境を充実させることが重要です。
今回は、犬の骨関節炎について、原因や症状とともに、当院での治療方針やご家庭での注意点をご紹介します。

■目次
1.原因
2.症状
3.診断
4.治療
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

 

原因


骨関節炎は様々な要因が関連して発症するといわれています。
先天的な要因として肘関節形成不全症(尺骨の内側鉤状突起離断、肘突起癒合不全、離断性骨軟骨炎)、後天的な要因として外傷、過剰な運動、肥満、加齢などがあります。

また後天的な要因として、関節のケガや過剰な運動による関節の消耗、肥満、加齢、早期の避妊・去勢手術、関節に影響するその他の病気(肘あるいは股関節形成不全など)などが挙げられます。

特に早期の避妊・去勢手術については、骨関節炎の発症リスクが増えるといわれているので、当院ではお勧めしていません。

 

症状


上記の要素によって関節に負担がかかると、関節軟骨が変性して痛みを生じます。初期には背中が丸まってくる、散歩に行きたがらない、腰に触ると痛がる、足をかばうように歩く、などの症状がみられます。

ただし、犬が痛みを隠して痛がるそぶりをみせないこともあるので、注意が必要です。時間がたつにつれて病気は進行していくため、治療をせずにいると徐々に症状は悪化していきます。

 

診断


まずはご家庭での様子をお伺いするとともに、身体検査(主に触診)やレントゲン検査を実施して診断に結び付けます。

さらに他の関節の病気(感染性の関節炎や関節リウマチなど)の可能性が否定できない場合は、関節に針を刺し、関節液を一部採取して細胞を観察することもあります。また、これらの検査結果を利用して、病気の重症度を分類する方法が報告されています(COASTと呼ばれます)。

 

治療


重症度によっても異なりますが、治療の選択肢としては内科療法手術が挙げられます。
軽度の症状であれば、関節に負担がかからないよう体重管理をすると同時に、痛みを抑える薬や関節軟骨を保護するサプリメントなどを処方します。さらに、理学療法(リハビリ)や体の負担にならない程度の軽い運動を続けることも重要です。

重度の骨関節炎では手術(股関節全置換術、関節固定術など)が必要な場合もあります。

 

予防法やご家庭での注意点


関節への負担を減らすためには、フローリングを滑りにくいものにする(あるいはマットを敷く)、適度な運動で筋肉を保つ、食事管理を徹底して太らせないようにすることが大切です。

 

まとめ


運動を嫌がるようになったら、年のせいだと決めつけず骨関節炎を疑うことも大切です。治療せずにいると、どんどん悪化してしまうため早期に治療を始めることが重要です。今回ご紹介した症状がみられる場合は、なるべく早く動物病院で受診することをお勧めします。

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