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歩き方の違和感・おすわりの変化…犬の股関節形成不全とは?サインや治療法を解説

病院コラム 2026.06.29

「子犬の歩き方が少し変な気がする」
「おすわりの姿勢が崩れている」
「散歩中に後ろ足を引きずることがある」

このような変化が見られるとき「股関節形成不全」が関係している可能性があります。

股関節形成不全は、大型犬に多い病気として知られていますが、小型犬でも起こることがあります。また、成長期には症状が分かりにくく、成犬になってから関節炎による痛みが出て初めて気づかれるケースも少なくありません。

今回は、犬の股関節形成不全で見られるサインや原因、診断・治療の考え方、ご家庭でできるケアについて解説します。

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■目次
1.愛犬の歩き方がおかしいと感じたら
2.股関節形成不全とは?大型犬だけでなく小型犬でも起こる関節の病気
3.原因|遺伝だけでなく環境も影響します
4.症状の進行|成長期・成犬期・高齢期で変わるサイン
5.動物病院でどう診断する?当院での精査の流れ
6.治療|保存療法と外科療法の選択肢
7.ご家庭でできる予防と日常ケア
8.よくあるご質問
9.当院の整形外科診療
10.まとめ|歩き方の違和感はお早めにご相談ください

 

愛犬の歩き方がおかしいと感じたら


股関節形成不全では、飼い主様が日常生活の中で気づけるサインがあります。次のような様子が見られる場合は注意が必要です。

おすわりの姿勢が崩れている
腰を左右に振るように歩く
後ろ足を引きずる
散歩を嫌がる
ジャンプを嫌がる
立ち上がりに時間がかかる
両方の後ろ足で跳ねるように走る

腰を振るような歩き方は「モンローウォーク」と呼ばれることがあります。また、両方の後ろ足を同時に動かして跳ねるように走る様子が見られることもあります。

一方で、成長期の股関節形成不全では、症状が一時的に落ち着いたように見えることもあります。これは成長とともに関節が安定したように見えるためですが、完全に治ったわけではありません。その後、成犬期や高齢期になってから骨関節炎が進行し、痛みや歩き方の異常が目立つようになることがあります。

骨関節炎についてはこちらで詳しく解説しています

そのため「少し歩き方が気になる」程度でも、早めに動物病院で状態を確認しておくことで、その子に合った治療や生活管理を考えやすくなります。

 

股関節形成不全とは?大型犬だけでなく小型犬でも起こる関節の病気


股関節形成不全とは、股関節の発育に異常が起こり、関節が不安定になる病気です。

股関節は、骨盤側のくぼみに太ももの骨の先端がはまり込むことで動いています。しかし、股関節形成不全ではこのかみ合わせが不安定になり、関節に負担がかかりやすくなります。その状態が続くことで、炎症や痛みが生じ、やがて骨関節炎へと進行します。

一般的には、ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー、バーニーズ・マウンテン・ドッグなどの大型犬で多く見られる病気です。一方で、トイプードルやチワワ、パグ、シーズー、コーギーなど、小型犬や中型犬でも発症することがあります。

そのため「大型犬ではないから大丈夫」と考えずに、歩き方や姿勢の変化がある場合は注意して見てあげることが大切です。

 

原因|遺伝だけでなく環境も影響します


股関節形成不全には、遺伝的要因環境要因の両方が関係すると考えられています。

遺伝的要因

親犬やきょうだい犬に股関節形成不全がある場合、その犬にも発症する可能性があります。
特に大型犬では、生まれつき股関節形成不全になりやすい体質が関係していると考えられています。

環境要因

一方で、股関節形成不全は遺伝だけで決まる病気ではありません。成長期の生活環境や体重管理も発症や進行に影響すると考えられています。具体的には、次のようなものが挙げられます。

肥満
急激な体重増加
成長期の過度な運動
滑りやすい床
階段の上り下り
ジャンプの繰り返し

遺伝的な要因そのものを変えることはできませんが、体重管理や床環境の見直しなどが、関節への負担を減らすことにつながります。すべてを予防できるわけではありませんが、その子の状態に合わせて生活環境を整えてあげることが大切です。

 

症状の進行|成長期・成犬期・高齢期で変わるサイン


股関節形成不全の症状は、年齢や関節の状態によって変化します。

時期 起こりやすい変化 飼い主様が気づきやすいサイン
成長期 股関節のゆるみや違和感 ・腰を振って歩く

・跳ねるように走る

・散歩を嫌がる

成犬期 骨関節炎による痛み ・後ろ足を引きずる

・立ち上がりにくい

・運動を嫌がる

高齢期 慢性的な痛みや運動量の低下 ・散歩の距離が短くなる

・寝ている時間が増える

・段差を嫌がる

成長期に症状が軽くても、成犬期以降に痛みが出てくることもあります。

また、股関節だけでなく、膝や腰に負担がかかり、前十字靭帯断裂や馬尾症候群など、別の整形外科疾患につながるケースもあります。歩き方の違和感が続く場合は、股関節だけでなく、後ろ足全体や腰の状態も含めて確認することが重要です。

前十字靭帯断裂についてはこちらで詳しく解説しています
馬尾症候群についてはこちらで詳しく解説しています

 

動物病院でどう診断する?当院での精査の流れ


股関節形成不全の診断では、歩き方や姿勢、関節の動き、画像検査などを組み合わせて総合的に判断します。

歩き方・姿勢の確認

まずは、歩き方や座り方、立ち上がり方などを確認します。
股関節形成不全では、後ろ足の使い方や腰の動きに特徴が出ることがあります。普段の様子が分かる動画があると、診察時の参考になることもあります。

整形外科的検査

関節の動きや痛みの有無を確認します。
若い犬では、バーデン試験やオルトラニー試験と呼ばれる検査を行うことがあります。聞き慣れない名前かもしれませんが、目的は「股関節がどの程度ゆるんでいるか」「痛みの原因が股関節にあるか」を調べることです。

こうした検査では、筋肉が緊張していると股関節の状態を正確に評価できない場合があります。そのため、鎮静処置を行い、筋肉の力が抜けた状態で股関節のゆるみや不安定性を評価することが大切です。

レントゲン検査・CT検査

股関節の形や関節炎の程度を確認するために、レントゲン検査を行います。
高齢の犬では関節炎が進行していることが多く、その変化が画像上でも分かりやすい一方で、若い犬では適切な姿勢での質の高いレントゲン撮影が欠かせません。そのため、撮影時の体の緊張や動きによって評価が難しくなる場合には、鎮静処置を行ったうえで撮影することがあります。

また、必要に応じて、CT検査で骨や関節の状態をより詳しく評価することもあります。股関節形成不全では、関節のかみ合わせや変形の程度を正確に把握することが、治療方針を決めるうえで重要です。

当院では整形外科診療に力を入れており、レントゲン検査に加えてCT検査も活用しながら状態を評価し、その結果をもとにその子に合った治療方針の検討につなげています。

股関節形成不全が心配な場合はもちろん、すでに診断を受けていて治療方針に迷われている場合のセカンドオピニオンにも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

 

治療|保存療法と外科療法の選択肢


股関節形成不全の治療は、症状の程度や年齢、股関節の状態によって異なります。大きく分けると、保存療法外科療法があります。

保存療法

症状が軽い場合や、手術の適応を慎重に判断する必要がある場合には、保存療法を選択することがあります。保存療法では、次のような方法で痛みや炎症を抑え、関節への負担を減らします。

体重管理
運動量の調整
消炎鎮痛剤の使用
サプリメントの活用
生活環境の見直し

保存療法は、痛みを和らげたり進行を抑えたりするために有効な場合があります。ただし、股関節の構造そのものを根本的に改善する治療ではないため、状態に応じて継続的に経過を見ていくことが大切です。

外科療法

股関節の状態や年齢によっては、手術を検討します。外科療法には主に次のような選択肢があります。

三点骨盤骨切り術(TPO)
股関節のかみ合わせを改善するために、骨盤の一部を切って角度を調整する手術です。関節炎が進行する前の比較的若い犬で検討されることがあります。

大腿骨頭骨頚切除術(FHO)
痛みの原因となる大腿骨頭を取り除く手術で、小型犬などで選択されることがあります。

人工股関節置換術(THR)
股関節を人工関節に置き換える治療です。

どの治療法が適しているかは、年齢や体格、関節の状態、生活環境によって異なります。

当院では、整形外科分野の認定医が診断から治療方針の検討まで担当しています。股関節形成不全では、保存療法を継続するのか、あるいはTPO・FHO・THRなどの外科療法を検討するのかを総合的に判断し、その子に合った治療法をご提案しています。

また、手術が必要な場合には、術後の痛みの管理やリハビリも含めてサポートしています。

 

ご家庭でできる予防と日常ケア


股関節形成不全は遺伝的な要因も関係する病気ですが、ご家庭での工夫によって関節への負担を軽減できることがあります。また、日頃の生活環境や体重管理を見直すことは、症状の進行予防にもつながります。

適正体重を維持する

肥満は股関節だけでなく、膝や腰にも大きな負担をかけます。
特に成長期は急激な体重増加にも注意が必要です。体重管理は関節への負担軽減にもつながるため、食事量やフード選びに迷った際は、獣医師に相談することをおすすめします。

滑りにくい床環境を整える

フローリングなどの滑りやすい床では、股関節に負担がかかりやすくなります。
マットを敷く滑り止め対策を行う段差にはスロープを設置するなど、足腰にやさしい環境を整えてあげましょう。

成長期の運動量に注意する

成長期の過度なジャンプや長時間の激しい運動は、関節に負担をかけることがあります。
ただし、運動をまったくさせないのではなく、年齢や体格に合った適度な運動を続けることが大切です。

サプリメントや栄養管理

関節サプリメントは、状態によって補助的に使われることがあります。
ただし、サプリメントだけで股関節形成不全が治るわけではありません。使用を検討する場合は、獣医師と相談しながら、その子の状態に合わせて取り入れることが大切です。

 

よくあるご質問


Q. 何歳から検査を受けた方がよいですか?
歩き方やおすわりの姿勢に違和感がある場合は、子犬の時期でも早めにご相談ください。成長期にしか検討できない治療選択肢もあるため、気になるサインがあれば早めの確認が大切です。

Q. 小型犬でも股関節形成不全になりますか?
はい。大型犬に多い病気ではありますが、トイプードルやチワワ、パグ、シーズー、コーギーなどの小型犬・中型犬でも発症することがあります。

Q. 手術費用はどれくらいかかりますか?
手術方法や体格、検査内容によって異なります。診察で状態を確認したうえで、必要な検査や治療内容、費用の目安を事前にご説明します。

Q. 術後はどれくらいで歩けるようになりますか?
手術方法や犬の状態によって異なりますが、多くの場合は術後早い段階から歩行が可能になります。術式や状態に応じた回復の目安については、診察時にご説明いたします。

 

当院の整形外科診療


股関節形成不全では、現在の症状だけでなく、将来的な関節炎のリスクも見据えながら治療方針を考えることが大切です。

当院では、股関節形成不全をはじめ、前十字靭帯断裂や膝蓋骨脱臼(パテラ)など、さまざまな整形外科疾患の診療に対応しています。

前十字靭帯断裂の詳しい治療法や術式についてはこちらで詳しく解説しています
膝蓋骨脱臼(パテラ)の詳しい治療法や術式についてはこちらで詳しく解説しています

整形外科分野の認定医が診察を担当し、CTなどの画像検査も活用しながら、その子の状態に合わせた治療方針をご提案いたします。また、できるだけ体への負担を抑えた手術を心がけるとともに、麻酔管理術後のリハビリ生活環境の見直しまで含めて継続的にサポートしています。

当院がある日高市をはじめ、飯能市・所沢市・川越市などの周辺エリアからも整形外科診療やセカンドオピニオンを目的にご相談いただくことがあります。「診断は受けたけれど治療方針で迷っている」「手術が必要か相談したい」という場合も、お気軽にご相談ください。

当院の整形外科診療についてはこちらで詳しく紹介しています

 

まとめ|歩き方の違和感はお早めにご相談ください


犬の股関節形成不全は、大型犬だけでなく小型犬でも起こることがある関節の病気です。成長期には症状が目立たないこともありますが、成犬期や高齢期になってから関節炎による痛みが出てくることもあります。

おすわりの姿勢に違和感がある、腰を振って歩く、後ろ足を引きずる、散歩を嫌がるなどの変化がある場合は、早めに股関節の状態を確認しておくことが大切です。

当院では、整形外科診療に対応し、画像検査や手術を含めた治療方針をご提案しています。愛犬の歩き方や姿勢に気になる変化がある場合は、まずは一度ご相談ください。

 

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