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犬のレッグ・ペルテスについて┃主に成長期の小型犬にみられる病気

病院コラム 2024.03.28

レッグ・カルベ・ペルテス病(ペルテス病やレッグ・ペルテスとも表されます)は主に成長期の小型犬にみられる病気で、発生のメカニズムやその部位から、大腿骨頭無菌性壊死症あるいは虚血性大腿骨頭壊死ともいわれます。初期には歩き方に違和感を覚える程度ですが、そのままにしているとだんだんと悪化して歩けなくなってしまうこともあるため、早期発見・早期治療が大切です。
今回は犬のレッグ・ペルテスについて、原因や症状、診断、治療法をお伝えします。
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■目次
1.原因
2.症状
3.診断
4.治療
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

 

原因


 

レッグ・ペルテスとは、後ろ足の骨の一部である大腿骨頭に血液がうまくめぐらず、壊死を引き起こす病気です。大腿骨頭は大腿骨(太ももの大きな骨)の付け根にあるボール形の構造で、骨盤にあるお椀のような形の寛骨臼と接続する部分です。

詳しい発症原因はまだわかっていませんが、遺伝や外傷などが原因と考えられています

主に成長期の小型犬に多く、トイプードル、ヨークシャーテリア、チワワ、ポメラニアン、マルチーズなどにみられます。しかし、他の犬種においても発症する可能性はあります。

 

症状


壊死によって大腿骨頭がもろくなると、後ろ足に違和感を覚え、壊死した側の足をかばうような歩き方になります。

治療されないと徐々に悪化し、大腿骨頭の変形や骨折にまで至ることもあります。また壊死が進むと関節部分が痛くなり、足を地面に着けることを嫌がり、足を挙げるようになるため、太ももの筋肉がやせ細っていきます。

なお、大腿骨頭の壊死は​​片側のみに起こることが多いです。

 

診断


診察では、歩き方や左右の足の筋肉量を観察し、触診で関節に痛みやズレがないかを調べます

レッグ・ペルテスでは、股関節の後方伸展時に痛みが生じることが特徴的です。あわせて、骨や関節の状態を客観的に把握するには、X線検査が必要不可欠です。
レッグ・ペルテスの場合、大腿骨頭が変形していたり、壊死による骨の虫食い像がでたり、点状にみえたりします。

また、発生初期でこれらの所見が得られない場合は、CT検査に進むか、2~4週間後に再度検査をすることもあります。

 

治療


基本的には壊死した骨頭を切除、もしくは人工関節の手術を行い、痛みのある部位を取り除きます

この手術では術後のリハビリがとても重要で、できるだけ早くから行い、足の機能を十分に回復する手助けをしていきます。

 

予防法やご家庭での注意点


遺伝などの要素が関わるといわれているため、無闇な繁殖は控えましょう。

太ももの筋肉が衰えてしまうと、リハビリに長い期間を要したり、術後もうまく歩けなかったりするので、歩き方に異変を感じたらすぐに動物病院を受診することが重要です。

 

まとめ


レッグ・ペルテスは主に若齢の小型犬にみられる骨の病気です。予防する術はありませんが、筋肉が衰える前に手術して早くからリハビリを行うことで、十分に歩けるまで回復が期待できます。好発犬種を飼育されている場合は、ご家庭での歩き方に注意していただくとともに、定期的に動物病院を受診して骨や関節の状態をチェックしましょう。

 

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