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犬と猫の子宮蓄膿症について┃避妊手術で予防できる

病院コラム 2024.05.21

子宮蓄膿症は、避妊手術をしていない中齢から高齢のメスに多くみられる病気で、犬や猫の子宮内に膿が溜まることによって引き起こされます。適切な時期に避妊手術を行うことで発症を予防することができますが、万が一発症してしまった場合は命に関わることもあるため、注意が必要です。

犬と猫の避妊手術の重要性についてはこちらで詳しく解説しています

今回は子宮蓄膿症について、原因や症状とともに、当院での診断・治療法をお伝えします。

■目次
1.原因
2.症状
3.診断
4.治療
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

 

原因


子宮蓄膿症が発生する平均年齢は犬では7歳、猫では5.6歳と報告されているため、中高齢になったら特に注意が必要です。

ホルモンの影響(プロゲステロンと呼ばれる女性ホルモンにより子宮の膜が厚くなる)や、細菌感染(大腸菌などの細菌が子宮に感染する)が関与していると考えられています。

 

症状


子宮蓄膿症を発症すると、以下のような症状が現れます。

食欲不振
多飲多尿
発熱
頻脈・頻呼吸
嘔吐や下痢
陰部から赤茶色の分泌物の排出 など

ただし、分泌物がみられない場合もあるため、それだけで判断することはできません。

治療が行われずに病気が進行すると、膿がたまって膨らんだ子宮が破裂する危険性や、子宮に感染した細菌が血液を介して他の臓器に広がり、敗血症により全身の状態が悪化して命を落とす可能性もあります

 

診断


子宮蓄膿症の診断には、以下の検査を組み合わせて行います。

・身体検査
・血液検査
・エコー検査
・レントゲン検査

また、避妊手術の実施の有無も重要な情報となるため、各種検査とあわせて飼い主様に確認します。

 

治療


膿が溜まった子宮および卵巣の外科的切除が第一選択です。

当院では、基本的には開腹による手術を行いますが、膿の量が少なく、腹腔内での子宮破裂のリスクが少ない場合においては腹腔鏡でも行えることもあります。

傷口が小さいため術後の痛みが少ない
拡大した視野で手術が可能
術後の癒着が少ない

専門的な知識や経験、専用の機器が必要になりますが、当院では日本獣医内視鏡外科研究会に所属し、腹腔鏡手術を多数経験しているため、安心してご相談ください。

当院のスタッフについてはこちら

◼️腹腔鏡下による手術についてはこちらで詳しく解説しています
内視鏡外科手術

 

予防法やご家庭での注意点


子宮蓄膿症の予防には、避妊手術が非常に重要です。
当院では、繁殖を考えていないのであれば避妊手術をお勧めしています。子宮蓄膿症を発症して全身の状態が悪化してから手術を行うよりも、若くて健康なうちに手術を行う方がリスクは少ないと考えられます。

なお、繁殖を考えていて避妊手術を受けていないご家庭では、発情周期が正常に来ているか、発情が終わった後も乳腺の腫れが数ヶ月引かないなどの気になる症状がないかチェックしましょう。

 

まとめ


子宮蓄膿症は未避妊の中高齢犬に多い病気で、避妊手術による予防が非常に重要です。万が一発症してしまうと、命を落とす危険もあるため、適切な時期に避妊手術を受けることを強くお勧めします。

※初めて受診される方は事前に問診票を記載の上ご来院ください
問診票のダウンロードはこちらから

 

ノヤ動物病院
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