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犬と猫の避妊手術の重要性

病院コラム 2023.09.19

犬や猫の避妊手術とは、卵巣や子宮を摘出する手術のことを指します。さまざまなメリットがある一方で、実は注意しなければならない点もいくつか存在します。
そこで今回は犬や猫の避妊手術について、詳しく解説していきます。

■目次
1.避妊手術とは
2.避妊手術のメリット、注意点について
3.忘れがちなポイント│災害時の同行避難におけるマナーとして
4.腹腔鏡下による犬猫の避妊手術の特徴について
5.まとめ

避妊手術とは


手術方式は犬や猫の卵巣と子宮を摘出する「卵巣子宮摘出術」、もしくは卵巣だけを摘出する「卵巣摘出術」を行います。なお、当院では若齢で子宮に問題のない子に限り卵巣のみの摘出としております。

避妊手術は全身麻酔をかけて行い、おなかを開いて生殖器を摘出する方法が一般的です。しかし当院では、3〜5mmの小さな穴を開けて行う腹腔鏡下による避妊手術も行っております。腹腔鏡下による避妊手術についてはこの後の段落で詳しく解説いたします。

 

避妊手術のメリット、注意点について


避妊手術は望まない妊娠や出産および繁殖を防ぐだけでなく、さまざまな病気を未然に予防できることを目的とします。
例えば、子宮を摘出すれば子宮に膿が溜まってしまう「子宮蓄膿症」を予防でき、また「乳腺腫瘍」の発生リスクを大幅に下げることができます

避妊手術は犬も猫も生後6ヶ月から行うことができますが、特にメスの場合、犬では初回発情を迎える前に行うことでほぼ100%、猫では生後12ヶ月齢までに行うことで86%「乳腺腫瘍」の発症率を下げることができます。

ただし、いくつか注意しなければならない点もあります。
まず、避妊手術を行うことによりホルモンバランスが崩れ、肥満になりやすくなります。そのため、術後は食事内容の見直しを行い、体重管理を行っていきます。

また、手術の際は全身麻酔をかけて行うため、一定の麻酔リスクが存在します。しかし、麻酔のリスクを極力軽減するために、入念な術前検査、手術中の各種モニター装置使用、処置や手術に伴う疼痛の緩和、年齢や基礎疾患に気をつけた麻酔薬の選択の実施を行っています

 

忘れがちなポイント│災害時の同行避難におけるマナーとして


避妊手術の重要性を解説するうえで見落とされがちなポイントとして、「災害時の同行避難」が挙げられます。万が一災害が発生し、愛犬愛猫との同行避難が必要になった場合、避難先で不必要な繁殖をしてしまう場合もあります。住民の方々に迷惑をかけないためにも、避妊・去勢手術は環境省や埼玉県からも勧められていますので、もしもの時のためにも行っておくことをおすすめします。

参考:
環境省 災害時におけるペットの救護対策ガイドライン
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2506/ippan.pdf

埼玉県 ペット同行避難ガイドライン
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/178227/guidelime2.pdf

 

腹腔鏡下による犬猫の避妊手術の特徴について


開腹手術は、おなかを大きく切って患部を肉眼で観察しながら手術を行います。

一方、腹腔鏡下による避妊手術は、3〜5mmの小さな穴を3箇所開け、そこから内視鏡を挿入してモニターの映像を確認しながら手術を行います。
開腹手術と比較して傷口が小さいため術後の痛みが少なく、回復も早い傾向にあり、さらに術創の感染リスクが低下するとされています。それだけでなく、術中に卵巣を強く牽引しないことにより術後だけでなく術中の痛みも緩和できます。
また、一般的には開腹手術よりも手術時間が長くなると言われておりますが、当院では開腹手術とあまり変わらない時間で手術が可能です。
ただし、腹腔鏡手術は犬や猫への負担が少ない一方、費用はやや高くなります

当院では、開腹による手術、または腹腔鏡下による手術(低侵襲外科手術)をお選びいただけます。どちらの方法で手術を行うかは、飼い主様とじっくり話し合いながら決めていきます。

当院の腹腔鏡下による犬猫の避妊手術についてはこちらをご覧ください。

 

まとめ


犬や猫の避妊手術は病気を予防することもできるため、希望される方は生後6ヶ月を過ぎたらなるべく早めに避妊手術を受けるようにしましょう。健康な愛犬・愛猫のおなかにメスを入れるのに抵抗がある飼い主様もいるかと思いますが、体にかかる負担を最小限にできる腹腔鏡手術も検討していくことをおすすめします。こちらでご紹介した内容以外でも、避妊手術でお困りのことや不安なことがあれば、ぜひお気軽に当院までご相談ください。

下記のページでも避妊手術を行う理由、手術を受けるのに適した時期、メリットやデメリットなどについてより詳しくまとめておりますので、合わせてご参照ください。

犬・猫の避妊手術についてこちらの記事でも詳しく解説しています。

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