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犬の橈尺骨骨折について┃小型犬にもっとも多い骨折

病院コラム 2024.01.29

犬で多くみられる骨・関節の病気の1つに、橈尺骨(とうしゃっこつ)骨折があります。肘から手首までの部分を前腕と呼びますが、前腕は橈骨と尺骨の2本の骨から構成されます。骨折というと交通事故などを思い浮かべるかもしれませんが、抱っこから飛び降りたときなど、ちょっとした不注意が原因になるケースもあります。また、骨と骨のズレの大きさによって治療方法が異なるので、検査で骨折の程度や状態をしっかりと確認して、適切な方法を選ぶことが重要です。
今回は、愛犬が橈尺骨骨折にならないための注意点とあわせて、当院での治療方針などを解説します。

■目次
1.原因
2.症状
3.診断
4.治療
5.ご家庭での注意点や予防法
6.まとめ

 

原因


橈尺骨骨折の原因として多いのは、抱っこから飛び降りたり、誤って踏んでしまったり、遊んでいるときに怪我をしてしまうなど、強い力が加わったときです。

橈尺骨は全身の骨の中でも比較的細いため、交通事故などの大きな力でなくても折れてしまうこともあります。

特に、若い小型犬(イタリアン・グレーハウンドやトイ・プードルなど)は活発で、なおかつ大型犬や同じ種の成犬よりも骨が弱く細いため、骨折しやすい傾向にあります。

 

症状


骨折すると強い痛みが伴うため、足を地面に着けられず急に足を上げるようになったり、前足に触られることを嫌がったりするようになります。

また、骨折した部分は通常であればまっすぐになっているはずなのに、不自然に曲がっていることもあります。

 

診断


骨折の診断には、X線検査が不可欠です。
その際、骨折した側と正常な反対側の両方を撮影して比べることで、どこが骨折したのかをより正確に判断できます。

また子犬の場合、成長板があるため成長板が傷ついていないかも注意して観察する必要があります
ただし、術前のレントゲンでも成長板の評価が難しい場合もあり、成長とともに骨の異常がではじめ、初めてわかる場合もあります。

 

治療


骨折の治療には、外固定法(ギプスなどを使用して皮膚の外側から固定する方法)と、手術による内固定法(プレートによる固定)に分けられます。

当院では骨と骨のズレの大きさに応じて、治療法を使い分けています。ズレがほとんどない場合には、ギプスや包帯を使用した外固定法を用いることもありますが、ほとんどの場合はプレート固定が必要です。プレートもたくさん種類がありますが、固定強度が強すぎると癒合不全といって骨がくっつかず逆に解けてしまうことがあります。逆に、弱すぎるとプレートが折れてしまいます。

わんちゃんの骨の太さ、年齢、活動性、なども踏まえて術前計画を立てていきます。

 

ご家庭での注意点や予防法


橈尺骨骨折の予防は、原因となるような事故を未然に防ぐことが重要です。

抱っこをする際は飛び降りないように、そっと抱えるように持ち上げるなどの対策を行いましょう。

また、私たち人間にとっては小さな高低差でも、小型犬にとっては骨折の原因となってしまうこともあるため、飛び降りそうな段差にはスロープをつけるなど、ご自宅の環境を整えることも大切です。

 

まとめ


橈尺骨骨折は小型犬に多い骨の病気です。急に足を上げるようになった、ジャンプした後の様子がおかしいなどの症状がみられるようであれば、早めに動物病院を受診しましょう。

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※初めて受診される方は事前に問診票を記載の上ご来院ください
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