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犬と猫の外耳炎について┃耳が赤い、耳垢が多いと感じたら病院へ

病院コラム 2024.02.26

外耳炎とは、耳の入り口から鼓膜までの範囲に起こる炎症のことで、アレルギーや異物、ポリープなどで発症する病気です。特に猫よりも犬に多く、なかなか治らずに再発してしまうこともたびたびあります。炎症が鼓膜を越えて耳の奥にまで到達すると治療が難しくなってしまうため、早めに動物病院を受診し、正しい治療法を実践することが重要になります。
今回は犬と猫の外耳炎について、その原因や症状とともに、当院での治療法やご家庭で耳のケアをする際の注意点をお伝えします。

■目次
1.原因
2.症状
3.診断
4.治療
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

 

原因


犬と猫の外耳炎の原因として、アレルギー(アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど)、ダニ(ミミヒゼンダニなど)、異物(植物の葉や種)、ポリープなどが挙げられます。

また、マラセチアや細菌性の外耳炎は、アレルギーなどが原因で2次的に問題を起こしているので、感染だけ落としても再発する可能性が高く、注意が必要です。

この中で、犬ではアトピー性皮膚炎や食物アレルギーによる慢性外耳炎がよくみられ、猫ではミミダニの感染や生まれつきの構造的な問題で外耳炎を起こします

外耳炎はどんな品種でも起こりうる病気ですが、犬ではアメリカン・コッカー・スパニエル、猫ではアメリカンカールが外耳炎を起こしやすい代表的な種類になります

 

症状


よくみられる症状として、耳が赤い、耳垢が多い、頭を振る、耳から悪臭がする、耳を手足でカリカリと引っかくなどが挙げられます。こうした状態が続くと、耳が傷つき、腫れて強い痛みをおこし怒るようになったり、皮膚が分厚くなり穴が狭くなったり硬くなってしまい(石灰化)、再発を繰り返す原因になってしまいます。また、石灰化した耳道は修復することができません

さらに耳の細菌叢(細菌のバランス)が変化し、二次的に細菌やマラセチアが増殖して状況が悪化することがあります。

また、炎症が中耳、内耳へと波及すると鼓膜が破れてしまったり、前庭障害(顔が傾いてしまったり、目が回ってしまい、うまく歩けなくなってしまう)が出る場合もあります。

頭を振る、耳をかくことで耳介の毛細血管が切れて耳血腫になってしまう場合は、耳介が変形してしまうケースも少なくありません。

 

診断


まずはアレルギーや脂漏症など基礎疾患(もともと持っている病気)がないかをお聞きします。特に犬で外耳炎を繰り返す場合は犬アトピー性皮膚炎の可能性が高いため、耳の他にも痒みはないかなど、詳しく確認します。

また、耳鏡という専用の機器を使って外耳道の状態を観察し耳垢や腫れ、赤みなどの確認を行うことで診断します。
また真菌やダニなどの感染が疑わしい場合は、耳垢を採って顕微鏡で観察します。

 

治療


多くの場合、洗浄と点耳薬の使用で治療できますが、治癒が遅い場合や再発を繰り返す場合は注意が必要です。痛みが強い場合は無理に洗浄はせず、まずは内服薬で症状を抑えてから洗浄や点耳薬に切り替えることもあります。

繰り返す子は、基礎疾患の治療や継続的な治療(アトピーのある子はアトピーの治療、点耳薬の頓用など)、慢性化し重度の場合はオトスコープ(耳用の内視鏡)を用いて徹底的な洗浄を行います。

また、石灰化し耳道が硬く変性してしまった場合は、最終的には手術で耳道を切除する必要があります。

 

予防法やご家庭での注意点


耳が清潔に保たれるよう、ご家庭でのケアがとても大切になります。ただし、動物の耳は非常に繊細で、強い刺激があると表面が傷ついたり、その後のケアを嫌がったりする可能性があるため注意が必要です。

具体的には、下記がポイントです。

・耳を拭く際には綿棒を使わない
・コットンや柔らかい布を使う
・耳毛は抜かない
・耳を拭きすぎない
・洗いすぎない

また、耳垢の状態はどうか、皮膚は赤くなっていないか、悪臭はしないか、痒がっている様子はないかなど、日頃からよく観察することも予防につながります

人と同様に耳垢が出ること自体は病気ではありません。動物本来が持っている耳の自浄作用によるものなので、実は健康な耳なのかもしれません。そのため、外耳炎かな?と思ったら動物病院で確認しましょう。

 

まとめ


外耳炎は、ご家庭での日ごろのケアで予防するとともに、症状がみられたら早めに対処することが肝心です。しかし、綿棒を使用や誤った方法で洗浄を行うと、それが原因で外耳炎を発症したり、症状を悪化させたりする場合があるため、どのようにケアすればよいかわからないなど、不安な点があれば、お気軽に当院の獣医師までお尋ねください。

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