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高齢犬が首を傾ける・ふらつく・急に立てない…考えられる病気と受診の目安

病院コラム 2025.09.19

「うちの子、ずっと首をかしげている」「急に立てなくなってしまって心配…」

最近、当院にも、高齢犬の飼い主様からのこうしたご相談が増えてきています。
首をかしげたり、ふらついたりする様子は、単なる老化現象に見えるかもしれませんが、前庭疾患や脳の病気など、医療的な対応が必要なサインであることも少なくありません。

今回は、高齢犬に多い首の傾きやふらつきの原因、受診の目安、そしてご家庭でできる工夫について解説します。

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■目次
1.考えられる原因疾患
2.受診の目安と診断の流れ
3.高齢犬と暮らす上での工夫とケア
4.まとめ

 

考えられる原因疾患


「首を傾ける」「ふらつく」「急に立てない」といった症状には、いくつかの原因が考えられます。

・前庭疾患
バランス感覚をつかさどる「前庭系」に異常が起こる病気です。特にシニア期に多い「特発性前庭疾患」は、原因がはっきりせず突然発症するのが特徴です。

・脳疾患
脳腫瘍脳炎脳梗塞などが該当します。前庭疾患と似ていますが、発作や意識障害を伴うなど、より重い症状が出る場合があります。

・耳の病気
耳は前庭系の一部でもあるため、中耳炎内耳炎によってふらつきが起こることがあります。外耳炎が進行して波及することもあり、注意が必要です。

・全身性疾患
慢性腎臓病甲状腺機能低下症などにより元気がなくなり、筋力が落ちることで立ち上がれなくなることもあります。

なお、首を傾けた状態は「斜頸(しゃけい)」と呼ばれます。「斜頸=予後不良」というわけではありませんが、命に関わる病気のこともあるため、早めの受診が安心につながります。

 

受診の目安と診断の流れ


「様子を見ても大丈夫?」「すぐに病院へ行くべき?」と迷う飼い主様も多いかと思います。次のような症状がある場合は、できるだけ早めに動物病院を受診しましょう。

眼が揺れている(眼振)
自分の意思とは関係なく眼球が小刻みに動く症状で、前庭疾患の代表的なサインです。

急に立てなくなった
前庭疾患であれば、目まいによって立てなくなるだけで、命に関わることはほとんどありません。一方で、脳疾患の場合は失神やけいれんを伴うことが多く、その後に立てなくなる、寝たきりになる、意識が戻らないといった重い症状へ進行してしまうこともあります。

嘔吐や食欲不振が続く
前庭疾患によるめまいや吐き気、あるいは全身性の病気が関わっている場合があります。

症状が急に悪化した
命に関わる病気のおそれもあるため、迷わず動物病院に連絡しましょう。

動物病院での主な検査の流れ

症状の背景を正しく見極めるために、次のような検査を組み合わせて行います。

神経学的検査:反射や反応を調べ、神経のどの部分に異常があるのかを確認します。
耳の検査:耳の中を直接観察して、外耳炎がないか、鼓膜がきちんとあるかを調べます。
血液検査:炎症や内臓の状態を把握し、全身の健康状態を確認します。
画像診断(X線・CT・MRI):X線では大まかな異常を確認し、脳の病気が疑われる場合にはCTやMRIで詳しく調べます。

なお、診察中は緊張で症状が出にくいこともあります。そのため、ご自宅での様子をスマートフォンで動画に記録していただくと診断に役立ちます。眼振の有無、立ち上がろうとする動き、転倒や旋回運動などを押さえておくとベストです。こうした情報は診断を早め、適切な治療へとつながる大切なヒントになります。

「迷ったけれど受診してよかった」とお声をいただくことも多いので、不安を感じたときにはどうかためらわずにご相談ください。

 

高齢犬と暮らす上での工夫とケア


診断や治療とあわせて、ご家庭での環境を整えることも、愛犬の生活を支える大切なポイントです。ちょっとした工夫で、転倒や体への負担を減らすことができます。

転倒防止策

フローリングのままだと足がすべりやすく、転倒につながってしまいます。滑りにくいマットやカーペットを敷いたり、クッションを配置してあげると安心です。また、室内の段差や障害物を減らすことで、ふらつきがあっても安全に移動しやすくなります。

食事や水飲み場の工夫

首や足腰への負担を減らすために、食器や水飲み場の高さを調整してあげましょう。低すぎる位置だと前かがみの姿勢が負担になり、高すぎても食べにくいため、ちょうどよい高さを見つけてあげることが大切です。普段過ごす場所の近くに設置してあげると、移動の負担も軽減できます。

こうした工夫は、病気を完全に防ぐことはできなくても、症状がある子でも少しでも快適に過ごせる環境づくりにつながります。そして、症状が落ち着いているときでも小さな変化に気を配り、定期的に通院して経過を確認することも、安心につながる大切なポイントです。

 

まとめ


愛犬の「首を傾ける」「ふらつく」「急に立てない」といった変化を目にしたとき、飼い主様の頭に浮かぶのは「治るのかどうか」だと思います。

特発性前庭疾患や耳の炎症などは、適切な治療によって回復が期待できるケースもあります。一方で、脳腫瘍や脳炎といった病気は長期的な治療や管理が必要で、完治が難しい場合もあります。

いずれにしても、早期に原因を特定し、適切な治療やケアを始めることが改善の可能性を広げ、後遺症を減らすカギになります。気になる症状が見られたら、どうぞお早めにご相談ください。

 

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