ごはんを食べにくそう?|犬猫の口腔内腫瘍のサインと治療
病院コラム 2025.01.29
愛犬や愛猫がごはんを食べにくそうにしている場合、口腔内腫瘍、つまり歯茎や舌など口の中にできる腫瘍が原因かもしれません。
犬や猫の口腔内腫瘍は、見た目では気づきにくいことが多く、飼い主様が知らないうちに進行してしまうことがあります。基本的な知識を持ち、異変に早めに気づくことで、早期治療に結び付けられる可能性が高まります。
今回は、犬や猫の口腔内腫瘍に関する主な症状、診断方法、治療方法について詳しく解説します。
■目次
1.口腔内腫瘍の主な症状
2.診断方法
3.治療方法
4.よくある質問(Q&A)
5.まとめ
口腔内腫瘍の主な症状
口腔内腫瘍がある場合、犬や猫には次のようなサインが見られることがあります。こうした症状に気付いたら、早めに獣医師に相談してください。
・ごはんを食べるのを嫌がる、または食べる量が減る
・口を気にする仕草(口を頻繁に掻く・舐める)がみられる
・飲み込みにくそうな仕草や、食べる際に痛がる様子がみられる
・口臭が強くなる
・口の中から出血している
・鼻血や鼻水が増える
・呼吸がしにくそうにみえる
日常的な歯磨きやスキンシップの際に口腔内を確認する習慣をつけておくと、早期発見につながる場合があります。
診断方法
口腔内腫瘍の診断には以下の方法が用いられます。正確な診断には専門的な検査が必要です。これらの検査は、通常麻酔下で行われることが多く、犬や猫の負担を最小限に抑えるよう配慮されます。
<組織生検>
腫瘍の一部を採取し、顕微鏡で調べることで腫瘍の種類や悪性度を判断します。外部機関での判断が必要な場合は、結果が出るまで数日かかることがあります。
<レントゲン・CTスキャン>
口腔内の詳細な画像を撮影し、腫瘍の大きさや位置、他の部位への影響を確認します。
治療方法
診断の結果に応じて、さまざまな治療法が選択されます。それぞれの治療法にはメリットとリスクがあるため、獣医師と相談しながら適切な選択を行いましょう。
<手術>
腫瘍を外科的に切除します。早期発見であれば手術によって完全に取り除ける可能性がありますが、腫瘍が大きい場合や進行している場合には難しいこともあります。
<化学療法>
抗がん剤を用いて腫瘍細胞を攻撃します。抗がん剤単独で実施することは基本的にありませんが、外科手術に追加の補助療法として実施します。
<放射線治療>
放射線を照射して腫瘍細胞を攻撃します。手術での完全切除が難しい、もしくは手術による合併症が許容できない場合に適応になることが多い治療法です。
<消炎鎮痛剤の使用>
痛みや炎症を抑える薬で、犬や猫の苦痛を軽減します。生活の質を向上させることを目的とします。
<動注化学療法>
血管にカテーテルを挿入し、腫瘍内に直接抗がん剤を注入します。一般的な抗がん剤治療に比べ、副作用を抑えながら腫瘍の縮小・消失を狙います。また塞栓剤も使用することで腫瘍への栄養供給を断ち、さらに効果的に腫瘍を攻撃します。出血が止まらないようなケースにも使用できます。局所的な効果が高いとされています。
よくある質問(Q&A)
以下に、飼い主様からよくいただく質問をまとめました。
Q1: 口腔内腫瘍は痛みを伴いますか?
A: 初期では特に痛みを伴うことはありません。しかし進行し骨が溶けてしまったり、扁桃腺や喉付近に浸潤、転移してくると痛みが出てくることがあります。
Q2: ごはんの食べ方がおかしいのですが、なぜでしょう?
A:口腔内(特に舌、舌裏、喉)の腫瘍が原因で、食事中に痛みや不快感を感じている場合があります。早めに獣医師に相談することをおすすめします。
Q3: 口腔内腫瘍があっても様子を見ていて大丈夫ですか?
A: 進行の早い腫瘍もあるため、様子見は非常に危険です。異変を感じたら、すぐに受診するようにしましょう。
Q4: 必ず手術が必要ですか?
A: 手術は効果的な治療法の一つですが、腫瘍の種類や進行度、犬猫の健康状態により異なります。手術が難しい場合は、抗がん剤や放射線治療など、他の治療方法が検討されます。
まとめ
犬や猫の口腔内腫瘍は、早期発見と適切な治療が重要です。日頃から歯磨きや食事中の様子を観察し、異変に気付いたら速やかに獣医師に相談しましょう。腫瘍は進行が早いこともあるため、放置せず、早めの対応が鍵となります。また、日常的なケアとして口腔内をチェックする習慣をつけることや、定期的な健診を受けることも、異常の早期発見に役立ちます。
当院の腫瘍科では専門的な診断や治療を提供しています。もし気になる症状や不安があれば、ぜひお気軽にご相談ください。
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