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犬・猫の電気化学療法(ECT)とは?がん治療における新たな選択肢を解説

病院コラム 2026.02.12

がん治療と聞くと、どのような方法を思い浮かべるでしょうか。

一般的には、手術・抗がん剤・放射線治療の3つが代表的で、これらは「三大療法」と呼ばれています。実際に、多くの腫瘍では手術によって取り除く外科療法が第一選択になります。しかし、がんができた場所や愛犬・愛猫の年齢、持病、体力などによっては、これらの治療が難しいケースも少なくありません。

こうした背景のなかで、近年新たな選択肢として注目されているのが 「電気化学療法(ECT)」 です。もちろん、腫瘍を根本的に取り除けるのであれば外科療法が最も確実な方法です。ただし、どうしても手術が難しい場合には、電気化学療法が負担を抑えた治療のひとつになり得ます。

今回は、電気化学療法の仕組みや適応となるケース、メリット・注意点について、詳しく解説します。

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■目次
1.電気化学療法(ECT)とは|どんな仕組みの治療?
2.どんな腫瘍・状況で検討される治療?
3.治療の流れとノヤ動物病院での考え方
4.ご家庭での注意点・副作用について
5.よくある質問(FAQ)
6.まとめ|外科だけでない「もうひとつの選択肢」として

 

電気化学療法(ECT)とは|どんな仕組みの治療?


「電気化学療法」という言葉を初めて耳にする飼い主様も多いかもしれません。

この治療では、腫瘍に短い電気パルスを与えることで、細胞膜に一時的な“通り道”をつくります。すると、通常は細胞の中に入りにくい抗がん剤(ブレオマイシンやシスプラチンなど)が腫瘍細胞の内部まで届きやすくなり、薬の効果がより強く発揮されます。

いわば 「薬を効かせやすい状態をつくってから投与する治療」 とイメージすると分かりやすいかもしれません。基礎研究レベルではありますが、抗がん剤の殺細胞効果がブレオマイシンで数千倍、シスプラチンで数十倍にまで増強されることも報告されています。

なお、電気化学療法は全身に抗がん剤を巡らせる治療ではなく、腫瘍そのものを狙う「局所治療」 です。そのため、体への負担を比較的抑えながら、必要な部位に集中的にアプローチできる点が特徴です。

 

どんな腫瘍・状況で検討される治療?


電気化学療法は「体への負担を抑えつつ、限られた範囲の腫瘍を治療したい場合」に適した方法です。そのため、次のようなケースで検討されます。

検討されやすいケース

皮膚や口腔内など、体表から処置しやすい腫瘍(肥満細胞腫、線維肉腫、扁平上皮癌、メラノーマ など)
顔や足先など、大きく切除すると生活に影響が出やすい部位
高齢や持病があり、長時間の手術や麻酔を避けたい場合
腫瘍を完全に取り切ることが難しく、手術後に局所再発のリスクが残る場合

犬の皮膚肥満細胞腫についてはこちらで詳しく解説しています

一方で、電気化学療法は あくまで「局所療法」 であり、万能な治療法ではありません。

対応が難しいケース

全身に転移が広がっている場合
全身状態が著しく低下している場合

このようなケースでは、全身治療(抗がん剤治療など)を含め、別の方法を組み合わせて考える必要があります。

 

治療の流れとノヤ動物病院での考え方


電気化学療法を検討する際、当院では「その子にとって本当に無理のない治療かどうか」を大切にしながら、治療方針を決めています。効果だけでなく、体への負担や生活への影響も含めて総合的に判断していきます。

治療前の確認

まずは血液検査や画像検査などを行い、全身状態や麻酔のリスクを丁寧に評価します。
安全に治療を受けられるかどうかを確認したうえで、次のステップへ進みます。

治療法の優先順位

腫瘍を安全に切除できる場合は、外科療法が第一選択です。
電気化学療法は、手術や放射線治療が難しい場合の 「もうひとつの選択肢」 として位置づけ、状態に応じてご提案しています。

治療の実施

処置には刺激や痛みを伴うため、短時間の全身麻酔下で行います。
抗がん剤投与と電気パルスを組み合わせ、腫瘍のある部分に集中的に作用させる局所治療です。

1回あたりの治療時間は比較的短いものの、腫瘍の大きさや反応によっては、より効果を高めるために複数回実施することもあります。

 

ご家庭での注意点・副作用について


電気化学療法では使用する抗がん剤の量を抑えられるため、強い嘔吐や食欲不振といった全身的な副作用が起こりにくい治療法とされています。

一方で、治療した部位には次のような局所反応が見られることがあります。

痛み
腫れや赤み
ジュクジュクした状態(びらん・潰瘍)

気にして舐めたり触ったりすると悪化してしまうことがあるため、エリザベスカラーの装着などで保護してあげましょう。

もし「傷が広がっている」「元気がない」「食欲が落ちている」などの少しでも気になる変化があれば、早めにご相談ください。早めに対処することで、スムーズな回復につながります。

 

よくある質問(FAQ)


Q. 転移しているがんにも効きますか?
電気化学療法は局所治療のため、すべての転移病変に対応できるわけではありません。転移の範囲や数によっては、抗がん剤の全身投与など、別の治療法を組み合わせた方がよい場合もあります。

Q. 手術の代わりになりますか?
基本的には、腫瘍をしっかり取り切れる場合は外科療法が第一選択です。電気化学療法は、手術が難しい場合の補助的・代替的な選択肢のひとつとお考えください。

Q. 費用はどれくらいかかりますか?
治療回数や腫瘍の大きさ、部位によって費用は変わりますが、放射線治療や大きな手術と比べると、比較的負担を抑えられるケースが多い治療法です。詳しい費用については、状態を診察したうえで個別にご説明いたしますので、ご遠慮なくおたずねください。

 

まとめ|外科だけでない「もうひとつの選択肢」として


電気化学療法は、電気パルスと抗がん剤を組み合わせて腫瘍に直接アプローチする、新しい局所治療のひとつです。すべてのがんに適応できる治療ではありませんが、条件が合えば、愛犬・愛猫の体への負担を抑えながら治療を行える可能性があります。

当院では、まず外科療法を第一選択として考えたうえで、手術や放射線治療が難しい場合に「ほかに方法はないか」という視点から、電気化学療法も含めてその子に合った選択肢をご提案しています。

「手術は難しいと言われた」「年齢や体力が心配」「ほかの治療法も知りたい」
そのようなお悩みがある場合も、納得できる治療方針を飼い主様と一緒に考えていきたいと思っています。

早い段階でご相談いただくことで、選べる治療の幅が広がることも少なくありません。少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

当院の腫瘍科についてはこちらのページで紹介しています

 

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