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犬や猫の耳のかゆみ・においは「外耳炎」かも|アトピーとの関連や症状・再発予防を解説

病院コラム 2026.01.28

愛犬や愛猫がしきりに耳を振ったり、耳を引っかいたりしていませんか。耳の赤みやかゆみ、独特のにおいが見られる場合は「外耳炎」を起こしていることがあります。

外耳炎の背景には、アトピーやアレルギーなどの体質的な要因が隠れていることも少なくありません。放置すると耳道が腫れ、慢性外耳炎へと進行してしまうこともあります。また、一度よくなったように見えても、繰り返し再発するケースも多いため、日頃からのケアが大切です。

今回は、外耳炎が起こる本当の原因や、オトスコープ(耳道内カメラ)を用いた診察の考え方、そして再発を防ぐためにご家庭でできるケアについて解説します。

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■目次
1.外耳炎の原因|アトピー・アレルギー・異物など“背景疾患”が鍵
2.主な症状|早めに気づきたい“耳のサイン”
3.診断と治療|“オトスコープの診察”で原因を正確に見極める
4.ご家庭でできるケアと再発予防|継続チェックが何より大切
5.まとめ

 

外耳炎の原因|アトピー・アレルギー・異物など“背景疾患”が鍵


外から見える耳は「耳介」と呼ばれ、その奥に外耳・鼓膜・中耳・内耳と続いています。外耳炎とは、耳の入り口から鼓膜までの「外耳」に炎症が起こる状態を指します。

外耳炎は、次のようなさまざまな要因が関係して発症します。

・アトピー性皮膚炎
犬では最も多い原因のひとつです。耳と皮膚はつながっているため、皮膚の炎症が耳のトラブルとして現れることもあります。

犬のアトピー性皮膚炎についてはこちらで詳しく解説しています

・アレルギー疾患
食物や環境要因によるアレルギーが関係する場合があります。

・ダニの感染
ミミヒゼンダニなどが原因になることがあります。犬よりも猫、特に外に出る猫によく見られます。

・耳道内の腫瘤(ポリープなど)
耳の中にできものができると、耳道(耳の通り道)が狭くなり、炎症が起こりやすくなります。

・異物の侵入
散歩中に草の種などが入り込み、刺激となって炎症を引き起こすことがあります。

「細菌が原因」とは限らない理由

「外耳炎=細菌感染」と思われがちですが、実際には細菌だけが直接の原因になるケースはほとんどありません。ただし、炎症によって耳の環境が悪化すると、二次的に細菌や真菌が増殖し、症状を悪化させることがあります。

その代表例がマラセチアです。マラセチアは酵母様真菌(カビの一種)で、もともと皮膚や耳に存在する常在菌です。感染症ではないため、人やほかの動物にうつるものではありませんが、耳の環境が乱れると増殖しやすくなり、強いにおいや炎症を引き起こす「悪化因子」となります。特にアトピーやアレルギーが背景にある場合は注意が必要です。

マラセチアについてはこちらで詳しく解説しています

基礎疾患があると再発しやすい

「たれ耳の犬は外耳炎になりやすい」といわれることがありますが、耳の形だけが直接の原因になるケースは多くありません。実際には、その子がもともと持っている体質や、アトピー・アレルギーといった基礎疾患の有無が、発症や再発のしやすさに大きく関係します。

基礎疾患が隠れている場合、治療をしてもなかなか改善しなかったり、いったん良くなっても再発を繰り返したりすることがあります。そのため、単に耳の症状だけを見るのではなく、背景にある体質や持病まで含めて原因を丁寧に見極めることが重要です。

 

主な症状|早めに気づきたい“耳のサイン”


外耳炎が進行すると、耳道が腫れて薬が届きにくくなり、慢性外耳炎へ移行してしまうことがあります。そのため、できるだけ早い段階で気づき、治療を始めることが大切です。

次のようなサインが見られた場合は、動物病院での早めのチェックをおすすめします。

頭を振る
耳をひっかく
耳からにおいがする
耳の中が湿っている
耳垢が増える、色が変わる
触ると痛がる、嫌がる

「少し気になるけれど様子を見よう」と思っている間に、症状が悪化してしまうことも少なくありません。小さな変化の段階で相談することが、重症化を防ぐポイントになります。

 

診断と治療|“オトスコープの診察”で原因を正確に見極める


外耳炎は、見た目の症状だけで原因を判断することが難しい病気です。再発を防ぐためには、耳の奥の状態まで丁寧に確認し、その子に合った治療方針を立てることが欠かせません。

診断

外耳炎が疑われる場合は、次のような流れで検査を進めます。

▼問診
アトピーの治療歴、これまでの再発頻度、季節による症状の変化などを詳しくお伺いし、体質や背景疾患の可能性を整理します。

▼視診
耳の入り口や耳介の赤み、腫れ、分泌物の状態など、目で確認できる範囲の異常をチェックします。

▼耳鏡・オトスコープ検査
耳の奥の状態を確認する、最も重要な検査です。一般的な耳鏡では耳道の奥や鼓膜まで十分に確認できないこともありますが、当院ではオトスコープ(耳道内カメラ)を用いて、鼓膜まで含めた耳の状態を詳細に評価しています。

オトスコープによって鼓膜まで直接確認できることで、炎症の範囲や病変の程度を正確に把握でき、治療の必要性の判断や、使用すべき薬剤の選択精度を高めることができます。その結果、原因に即した無駄のない治療につなげやすくなり、再発リスクの低減にもつながります。

治療

治療は原因に応じて複数の方法を組み合わせて行いますが、基本的には「急性期の治療」と「慢性期の管理」をセットで考えます。

・耳洗浄
耳の中にたまった汚れや耳垢、細菌、マラセチアなどを除去し、薬が効きやすい環境を整えます。

・点耳薬
炎症の程度や感染の状況に応じて、抗炎症薬・抗菌薬・抗真菌薬などを使い分けます。

・内服薬
強い痛みや炎症がある場合には、点耳薬だけでは十分に抑えきれないこともあるため、内服薬を併用することがあります。

一時的に症状が落ち着いても、再発しやすい体質や基礎疾患がある場合には、継続的な管理が重要になります。

 

ご家庭でできるケアと再発予防|継続チェックが何より大切


外耳炎は再発しやすい病気のため、日常のケアもとても重要です。ご家庭では、次のポイントを意識してみましょう。

・耳の状態をこまめにチェック
におい、赤み、耳垢の量や色の変化に気づけるようにしましょう。

・痛みや違和感の有無を確認
スキンシップの際に耳をやさしく触り、嫌がらないかを確認します。

・耳に水が入らないよう注意
シャンプーや水遊びの際は、水が耳に入りやすくなります。

・ご家庭でのケアはやりすぎない
綿棒で耳の奥を掃除したり、自己判断で洗浄液を使用したりすると、かえって皮膚を傷つけてしまうことがあります。ご家庭では見える範囲をコットンでやさしく拭く程度にとどめ、奥のケアは動物病院にお任せください。

こうしたケアを行っていても外耳炎を繰り返す場合は、定期的な耳の診察やクリーニングが必要になることがあります。少しでも違和感があれば、慢性化する前に相談することが大切です。

 

まとめ


外耳炎は、犬や猫によくみられる病気のひとつですが、背景にアトピーやアレルギーなどの基礎疾患が隠れていることも多く、再発しやすいという特徴があります。一方で、原因を正しく見極めることができれば、症状の改善や再発予防が期待できる病気です。

外耳炎を慢性化させないためには、ご家庭でのこまめな観察と、気になる変化があった際の早めの受診が何より大切です。当院では、オトスコープを用いて鼓膜まで丁寧に確認し、耳の奥の状態を正確に評価することで、より的確な診断と治療につなげています。耳のかゆみやにおい、赤みなど、気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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